ロールプレイのスタイル

辛口の視点が好評(?)のロールプレイヤー考察が内容を大幅改訂。

キャラ育成派とは

ここでは、キャラ育成派について詳細な検討を行う。

多くのコンピュータRPGでは、説明書を開くとどこかに「キャラクター紹介」が ある。名前と性別、年齢や出生地が書いてあって、子供の頃どうやって過ごして きたか、などが書いてある。そして、そうした主人公たちが、冒険をするにつれ て人と出会い、成長していく。

これをそのままPSOにあてはめたのが「キャラ育成派」である。

キャラ育成派の概要

キャラ育成派は、文字通り、「キャラの設定を作って、自分がそのキャラになっ て冒険しよう」という遊び方である。既にあるキャラ(マンガやゲームなどのキャ ラ)を使う場合もあるが、自分で一から作る場合も多い。

自分で一からキャラを作る場合は、同時に「創作欲」も満たしている。自分が思 い浮かべたキャラのイメージを、詳細な設定を通じて具体化していくのである。

そして、自分が作成したキャラになって、実際にゲームをする。他者と会話し、 戦闘をし、与えられた目的を達成し、時には友人ができたり恋人ができたりと、 だんだんそのキャラの「物語」ができていく。そうやって、一人の人間の人生を 擬似体験するのが楽しみなのである。

時には一つの物語にまで発展するような壮大なバックボーンをキャラに設定す ることでキャラに深みができ、それを巧妙にプレイに生かすことで、奥の深い物 語をプレイすることができる。

キャラ育成派プレイヤーの目的

キャラ育成派プレイヤーは、セッション中に何を目標にしているのだろうか?ず ばり、「キャラの設定を増やす」ことである。あるいは「思い出づくり」と言い 換えてもよい。「思い出」一つ一つが、(例え明文化されていなくても)そのキャ ラの設定であるからだ。

キャラ育成派プレイヤーは、キャラ設定から導き出される通りの行動、つまり 「このキャラならこうするだろう」という行動を通じて、自分がそのキャラになっ たつもりになる。つまり、そのキャラの物語を擬似体験するわけだ。

また、自分のキャラの設定がゲーム上でうまく生かされると非常にうれしい。例 えば、キャラ設定に「料理が得意」とあれば、料理の話になると喜々として参加 しようとする。これは現実でもそうだろう。料理が得意な人は料理の話は好きだ。

キャラ育成派プレイヤーは、最初のうちは自分のキャラを出すだけで精一杯だが、 慣れてくると、他のキャラも出させてあげようと思うようになる。他のキャラの 設定を聞き、それにつながるような話題を提供する。そして、それが自分のキャ ラの設定とうまくつながれば、自分のキャラの設定がまた一つ増えるわけだ。こ うして、様々なキャラと複雑な設定のつながりができることに喜びを見いだす。

つまるところ、キャラ育成派は、プレイ中に起こった出来事を我が事のようにし て擬似体験するのが目的である。

キャラ育成派の設定

キャラ育成派は、キャラ設定が文書になっていれば簡単に見分けることができる。

まず、設定が長いことが多い。誕生から始まって、今に至るまでの歴史が綿々と 綴られている。その中には、以前プレイしたセッションの内容も含んでいる。 また、設定の中に他のキャラの名前が散見される。自分の別キャラであることも あれば、他人のキャラであることもある。これは、自分が今までに行ったプレイ の内容がすべて「設定」の中に組み入れられるからである。

明文化されていなくても、過去に行ったセッションの内容はすべて「設定」であ る。前回一緒に冒険した人とは(前回仲間割れしていなければ)仲間だし、前回女 性にこっぴどくバカにされたのなら、今は女性嫌いになっているかもしれない。 そうした事はいちいち文書にはされないが、すべてが「設定」である。

キャラ育成派の見分け方

キャラ育成派は設定を見ればすぐ見分けがつくのだが、それ以外の特徴を見てみ よう。

ブリーフィング時にはセッションの設定についてあれこれ言うことはほとんどな くおまかせである。キャラ育成派プレイヤーにとって必要なのは自分のキャラの 設定であってセッションの設定ではないからだ。キャラ育成派プレイヤーだけの 場合は、ブリーフィングも必要なく、そのままプレイに突入することもある。

「キャラの設定は?」と聞くと、自分がプレイにおいてどう振舞うかが回答とし て返ってくることが多い。例えば「無口なハニュ。炎のテクニックが好きで、長 槍を振り回します」のように。本当は生まれてから今までの一部始終を話したい のだが、そうできるわけはないので、代わりに「目に見える」設定を話すのだ。

プレイの後には「あー、○○さんと絡み損ねた」とか「○○さんの設定に絡めた /絡め損なった」という発言をする。「○○という発言についてなんだけど、実 は自分には××という設定があって……」というキャラ設定の披露もよくなされ る。