晩餐

追いついた二人をナリとラベンダーは笑顔で迎えた。

ガートは、ドラの後ろ、少し離れた所に立っていた。ドラの背中を見つめていた。

彼は小さな声で言った。ナリには聞こえなかったかもしれない。しかし、彼は相手のことなど考えてはいなかった。ただ、自分に向かって言ったのである。

ドラは振り向いてガートに小声で言った。ガートは聞かなかったふりをした。最後の笑顔はいつのことだったか…。彼には、たかだか数十分前のこともずっと昔のことに思えた。

確かにガートには目的があった。取るに足らない目的が。しかし、今はとてもそんなことをする気分ではない。それに、最初から気晴らし半分で出てきたのだから、ただの探検というのもそんなに間違いではなかった。

ガートはここで言葉をいったん切ると、大きくため息をついて、続けた。

ラベンダーは一行をにこにこしながら見ていた。ときどきうなずきながら。しかし、ドラが調理道具を出しはじめると、ふーっと一つ大きな息をして、鎌を握り直した。

ラベンダーはそそくさと部屋を後にした。二人が追いかけるのを見てから、ガートもゆっくりついていった。

ラベンダーは足早に進んだ。鎌で敵をなぎ倒すと、皆が一息ついている間に、そそくさと出口の扉に向かう。

彼はこの不公平をなんとも思っていないのだろうか？ガートは思った。やはりドラと同族だ。人間はそうはいかない。騙し騙され、裏切りと報復の連続だ。この自分のように。

ラベンダーはもう次の部屋で新たな敵に鎌を振るっていた。

ドラはラベンダーとガートを交互に見た。そしてうなずいた。

ラベンダーはにこやかな顔を崩さず言った。しかし、言葉ははっきりしていた。怒った様子も、むきになっている様子もない。

死ぬ、という言葉を聞いて、ガートは一瞬びくっと身を震わせると、一瞬ラベンターの顔を見た。死、という言葉は、今の彼には妙に現実的に、近いものに感じられた。死ぬ、それも生き方も一つだ。

ナリが、うつむいているガートの顔をのぞきこんで尋ねた。

ガートは、思っていることをそのまま口にしてしまっていたことに気がついた。僕はいったいどうしたというんだろう？そういえば、一人じゃなかったんだな。