晩餐

失恋から立ち直ろうともがくガートランド。その彼が、ある事件に巻き込まれ、思いがけず自分の内面を見つめることとなる。自分の本性に愕然となった彼は、人知れず苦悩の声を上げ、自らの救済を求めてさまよう。

捜索

ナリ: さあ、お前はなんで銃を突き付けた?
ドラ: 映画で見たんです。ベテラン刑事が新米に、「挨拶はこんな風にするんだ」って。それで……。
ナリ: ああ、それは俺も見た。
ラベンダー: それで、あなたの目的は何ですか?
ドラ: それを言わなければなりませんか……。
ドラは二人を交互に見回した。一触即発の雰囲気は去ったが、二人の目はまだ厳しい。嘘を言ってごまかせるものでもなさそうだ。そもそも彼は嘘は大の苦手である。
ドラ: 実は…、ハッピーさんの夕食の調達に……。ああ、全部言ってしまった…。
小柄なキャストは女性の方を見た。彼女はうなずくと、ドラから一歩離れた。ドラは立ち上がった。ボディ前面の土を払う。彼女は右手で彼の背中の土を払ってあげた。キャストも銃を降ろした。
ナリ: すまない。誤解だったようだ。ワタシはナリだ。よろしく
ドラ: よろしくお願いします

落ちていたドラの銃が手渡された。ドラは相手の顔をうかがうと、おずおずと手を出した。そして、相手がうなずくのを見て、両手で受け取った。しばらく銃を手の中で転がしていた。そして、二人の顔をまたうかがってから、壁に向かって銃を構えてみる。そして、そのまま銃をしまった。

ナリ: まあ、そういうことなら一緒に行かないか?
思いがけない提案があった。ドラとしてはすぐにでもついて行きたい。しかし…。
ドラ: でも、ガートを…。探しに行きます。

ドラは二人に一礼すると、ガートが出ていった扉を開けた。

ドラは部屋に入った。だれもいない。奥の扉が閉まろうとしていた。彼はそこに人影を見たような気がした。追いかける。長い通路を抜けると、そこは…。

がらんとした部屋。

ドラ: 独りになっちゃった……。
部屋には誰もいないのは明らかであるにもかかわらず、彼は何回もあたりを見回した。まるで、そうすることで無い物が出てくるかのように。
ドラ: どちらに行くべきだろう…
口で言ったこととは裏腹に、彼は判断を迷ってはいなかった。まっすぐ、洞窟の入口目指して走った。

次の部屋で、ドラはとうとうガートを見つけた。彼は部屋の隅にうずくまっていた。両手で顔をおおって、さらに立てた両膝の中に埋めていた。ドラが近づくと、彼は叫んだ。

ガート: こっちに来ないでくれ!