晩餐

失恋から立ち直ろうともがくガートランド。その彼が、ある事件に巻き込まれ、思いがけず自分の内面を見つめることとなる。自分の本性に愕然となった彼は、人知れず苦悩の声を上げ、自らの救済を求めてさまよう。

出会い

洞窟の中は暑い。あちらこちらに溶岩が噴出している。空調の効いた部屋の中とは比べものにならないほど不快だ。しかし、人間というのは、時として、わざと不快な場所に身を置きたくなるものだ。都会の安寧な暮しに慣れたガートランドには、この暑苦しさはかえって心地良いものであった。

ガート: おや?今日はモンスターはお休みかな?
いつもならば、どこからともなく異形の怪物が寄ってくるのが普通である。何度来てもそうだ。しかし、今日は違っていた。何もないがらんとした空間。予想される結論はただ一つ、誰かが先に来ているのだ。
だれだろう?彼はぼんやりと思った。推測する手がかりは何一つない。あるのはただの空想。ふと、昨日の彼女の顔を思い浮かべてしまい、首を振ってそれを打ち消した。確かに彼女もハンターだった。ここに来ている可能性もゼロではない。しかし、彼はそんな不合理な期待を持てるほど非理性的ではなかった。洞窟に頻繁に来ている調査隊だろう。

彼は、不意に奥で人の話し声を聞いた。若い女と男の声である。女の方は紺色の裾の長いドレスを着て手には鎌、男の方は散弾銃を構えた小柄なキャストだった。二人は彼に気づく様子もなく、話を続けていた。
彼は足を止めて、しばらく二人を観察した。二人は少し距離を置いているが、険悪なムードではない。女性の方は終始にこやかで、肩の力も抜けている。キャストの方は表情や仕草は読めないが、声は落ち着いているようだ。そして、彼が入ってきても目もくれない。
彼は二人に声を掛けようと近づいたが、思い直して、足音を立てないようにしながら通り過ぎた。邪魔しては悪い。そもそも、二人とも知らない人物である。挨拶しなくても何もとがめられることはない。

彼はそっと二人の脇を抜けると、通路への扉を開けた。通路を一気に駆け抜ける。

通路を抜けた先の大部屋、そこには怪物が巣喰っていた。これがいつもの洞窟の風景である。しかし、今まで怪物のいない洞窟を進んできたガートランドにとって、これは驚きの出来事であった。彼は慌てて銃を構えようとした。しかし、彼の小さな銃では群がる怪物どもには到底太刀打ちできない。もともと彼の戦法は、怪物が気づかれないほどの遠くからの狙い撃ちが主である。不意を打たれて慌てたこと、それは、彼にとっては死をも覚悟せねばならない危機的状況であった。

殺那を争う状況で、彼は銃を構えるのをやめてラフォイエを放った。食うか食われるかの瀬戸際である。体力の消耗なんて考えていられない。とにかくこの場だけ乗り切る、そう考えた彼は、とにかく高レベルテクニックを叩き込んだ。
彼が救われたのは、この好判断による所もあるが、怪物達が既に手傷を負っていたことによる部分が大きい。そう、怪物達は手傷を負っていたのである。でなければ、ラフォイエ1,2発で倒れるような敵ではない。このような状況から推理されることはただ一つ、それもあまり芳しくない状況である。もちろん、彼はこのように現在の状況をあれこれ検討する余裕などなかった。考えるより前に情報が目の方から飛び込んできた。

それは、青いキャストだった。背が低く横幅がある。人間なら「恰幅がよい」あるいは「太っている」と形容するような体格であるが、キャストの場合は体格など問題ではない。問題なのは、彼が倒れて動かなくなっているということである。ボディ表面の凹凸が被害の甚大さを物語っている。
幸い、手遅れではなかったらしい。ムーンアトマイザーを使うと、彼はさっそく起き上がることが出来るようになった。ただ、ガートは、怪物と戦うのに忙しく、それを見届けるだけの時間の余裕もなかった。相手が既に起き上がり、一緒になって戦ってくれていたのすら気がつかなかった。

怪物達が一掃されて、ようやくガートが声をかけた。
ガート: 君、大丈夫だったかい?
彼は、ほとんど変化しないキャストの顔に、なぜか喜びの表情を見てとった。