崩落・捜索・救助

ラグオル地下坑道で落盤事故が発生。直ちに救助チームが編成され、いまだに危険な事故現場に向かった。そこで彼らが見たものは...

仲間の絆

作業の方は、4人の中でアルトゥアだけが大苦戦していた。4人の中で彼が一番経験が浅かったからである。暴走機械が振り回す長い腕の直撃を受けて昏倒することもしばしばだった。

ヴァリシス: た、たいへん!
シーナ: 癒しの精霊よ、その力にて傷つきし者を癒し給え
シーナのリバーサーのおかげで、アルトゥアに意識が戻った。エリヤノフが抱え起こした。
シーナ: 大丈夫か?
アルトゥア: 助かったぜ
エリヤノフ: すまん、フォローが遅れた
アルトゥア: 気にすんな
ヴァリシスは慌ててアルトゥアに駆け寄って、顔をのぞき込んだ。
ヴァリシス: 大丈夫そうですね
エリヤノフ: あやうく僕のミスで要救助者プラス1になるところだった...
アルトゥア: ふぅ、自分の身も守れねぇのに人助けか...くっだらねぇな
そんなアルトゥアをシーナは大声で笑った。
シーナ: ははは…そのためのチームやろ?
エリヤノフ: ああ、1人でできずとも4人なら出来ることもあるサ
ヴァリシス: そうですよ
アルトゥア: そう…だな
シーナ: この中の誰もがやられる可能性はあるんや。ま、協力していこ
ヴァリシス: はい!

エリヤノフはぼそりとつぶやいた。
エリヤノフ: 正直僕だって、独りならこんなところは願い下げにしたいよ。ああ。
シーナ: せやなぁ... 食材も見当たらへんしな。折角のフライパンが無駄や...
シーナは袋からフライパンを出して手に取った。
エリヤノフ: 鉱石でも食う気か、君は...
アルトゥア: あんたなら、鉄屑でも食いそうだけどな
シーナ: だから食えへんいうとるんや
エリヤノフ: 今は食事よりヒトの命、だろう?
ヴァリシス: 食材!?なんていってる場合ですか!! この人命のかかった大変な時に...
エリヤノフ: ... なに、シーナ君流の冗談だ
ヴァリシス: じょ、冗談でも...
エリヤノフ: 場の緊張を解くための、な。だろう?
エリヤノフはシーナに話しかけたが、シーナはぷいっと横を向いた。
シーナ: ま、無駄話はおいといて次いこか


Captured Image
暴走ロボットは四方八方から出現し、4人は常に囲まれる格好になった。そして、小型のものは空中を高速で移動し、攻撃を当てるのは難しかった。ヴァリシスは小さな体で大きな散弾銃を右へ左へと振り回しながら、必死で狙いをつけていた。
エリヤノフ: ヴァル君、後ろは気にしなくていいぞ! 僕がなんとかする。君は前方広域のフォロー、頼んだぞ
ヴァリシス: そんな! ちゃんとバックセンサーで見えてますから
エリヤノフ: 見えてたって、小回りはきかんだろ、その銃器じゃ、な?
ヴァリシス: だって... 見えてると、どうしても恐いし...
ヴァリシスは自分の大きな銃を見つめた。

エリヤノフ: まだこっちにエリアがあるぞ
エリヤノフが開けた扉の先は倉庫だった。ここは外の騒ぎが嘘のように落ち着いた空間だった。
シーナ: だれかおるか〜
エリヤノフ: ...空振りか
エリヤノフ: いないですね。いい事なのか、悪い事なのか、な
シーナは携帯表示パネルに採掘場の地図を呼び出して、行った場所に印をつけていた。
シーナ: あと2ヶ所やな...こっちや
アルトゥア: こっちってどっちだよ?
エリヤノフ: ああ、降りたばかりのとこか。慌てて見逃した可能性はある
ヴァリシス: ええっと...どこ?
ここからだとかなり戻らなくてはならない。時間が惜しい現状でどうしたらいいのか。
エリヤノフ: 僕とヴァル君で見てこよう。それでいいかな?
シーナ: あ、まかせたわ。うちらはもう一つの方見てくるわ
ヴァリシス: はい、じゃ、いってきます!

エリヤノフとヴァリシスは駆け足で退出した。シーナはすぐ先のもう一つの部屋をのぞいたが、そこは採掘場区画への転送ゲートだった。シーナとアルトゥアは待つことにした。


未確認の区域は、工場全体を見渡せるように作られた監視所兼退避所だった。壁のスイッチで出入口のシャッターが閉じるようになっていた。シャッターを開けて中に入ってみたが、誰もいなかった。

エリヤノフ: だめか...
ヴァリシス: あららら
エリヤノフ: シェルタがあったんで、もしやと...思ったんだけどナ
ヴァリシス: 無駄足でしたか...
エリヤノフ: 誰も逃げ込んでないのは、いいのか悪いのかどっちだろう、な?
ヴァリシス: 奥に行ってみないと分からないですね
エリヤノフ: ああ、向こうは...
エリヤノフは、シーナとアルトゥアがいるはずの方角を向いた。もちろん見えるはずはないのだが。
ヴァリシス: 急ぐです〜
ヴァリシスが走り出し、エリヤノフは後に続いた。


シーナ: この先のフロアにおるとええんやけどな...
アルトゥア: 結局ここまで、救助したのは一人か?
二人が転送ゲートの前で待っていると、ヴァリシスが飛び込んできた。
ヴァリシス: おまたせしました!
エリヤノフ: エリアは残ってたが、空振りだったよ
アルトゥア: ま、この先も望み薄だな
ヴァリシス: そんな事言わないで下さいです! きっと、きっと...
アルトゥア: ま、希望を持つのもいいけどね
シーナ: まだ...まだおるはずや!!
そしてぼそりと一言付け加えた。
シーナ: アイツが死ぬわけはないんや...
ヴァリシス: アイツ?だれかいるんですか?
シーナ: ま、ね。 知り合いがね...
ヴァリシス: そうですか... 心配でしょうに...
シーナを見上げるヴァリシスを見なかったことにして、シーナは転送ゲートに乗った。
シーナ: ま、気にせんといてや。いくで


転送された先は、ブリーフィング通り、採掘場区画であった。事故前には工場区画とは桁違いの量の作業ロボットがいたはずだ。今までのようにはいかないだろう。

エリヤノフ: 一気に下まで降りてきた...な