勇気の証明

学校の友達にラグオル地表での冒険話を聞かされたガート君は、自分でも行ってみたくてたまらなくなり、とうとう近所の仲間と一緒に森へドラゴン退治に出かけました。

チームワークの問題

エクセル: この! このっっ!!
エクセルは短い杖で懸命にブーマを叩いていた。そして、ブーマの手が振り上げられるととっさに後へ下がった。そこにレオンの槍が突き出された。ブーマの目から光が消え、レオンが槍を抜くとその場に崩れ落ちた。

エクセル: 皆さんお強いですねぇ〜
レオン: えへへ
K: それほどでも……ある!
プロト-Kは胸を張って自慢げに言った。
ガート: 皆さん、じゃない。僕達、が強いんだ
レオン: エクセルもだよ〜
エクセル: わ、わたし達、ですか……
レオン: みんな強いよお〜
エクセル: じゃあ、ちょっと頑張ってみますねぇ……
エクセルは自分の短い杖をくるくる回しながら考え事をしていた。
エクセル: 強いってこういう事なんですかねぇ……
レオン: やさしいのも強いってことなんだよ〜
エクセル: そうですか


踏み固められた道をゆっくりと歩いていくと、向こうに黄色い生物が見えた。ラッピーの集団だ。
エクセル: あっ
ラッピーも姿に似合わず凶暴な動物だが、4人は猛然と向かって行った。3人は武器を、1人はカメラを持って。
ガート: よし、エクセルの勇姿をカメラに収めよう
エクセルがギフォイエを出している所をちょうど敵も入るアングルに収めようと、ガートランドは少し遠ざかりながらうろうろ動いていた。
ガート: ついでにレオンのも撮ってあげよう
レオン: ありがと〜
しばらく戦闘が続いた後、ラッピーは猛烈なスピードで茂みの中へ逃げていった。
エクセル: やぁ、逃げていきましたねぇ
レオン: よかったね〜
ガート: ははは、僕達の強さに恐れをなしたのだ
エクセル: なるほど……相手の力量を見極めて、逃げていった、という訳なんですか
レオン: そうだね〜、さあ、どんどん行こ〜

レオンを先頭に4人は歩いていったが、銃をかちゃかちゃやりながら歩いていたプロト-Kが突然止まった。
K: ありゃ、弾切れ
ガート: おいおい、次は弾かよ
レオン: 大丈夫?
先頭のレオンも立ち止まって、急いでプロト-Kの所まで戻ってきた。
エクセル: 誰も弾丸の予備は……
ガート: そのへんの石ころでなんとかならない?
心配する3人の注目を浴びながら、プロト-Kは鞄の中から黒い箱を取り出した。
K: 予備のやつちゃーんと持ってきてある
エクセル: なら、大丈夫そうですねぇ
ガート: なんだ、あるのか。心配させといて……
レオン: いこ〜
レオンはまた進行方向に向くと、後を振り返り振り返りしながら歩き始めた。エクセルは、プロト-Kが歩きながらカートリッジを交換するのをながめていた。
エクセル: モノメイトより、弾丸の方が高くないですか〜〜
K: 高いで……でも、そっちの方は支給品やから
エクセル: 節約していきましょうねぇ


4人は、自分達が倒したブーマの前で一息ついていた。もう慣れたとはいえ、猛獣の力は決して弱くはない。
レオン: ふ〜
一息ついた皆にエクセルはレスタをかけた。
エクセル: だ……だいじょうぶですか〜〜?
K: おおきにな〜
レオン: だいじょうぶだよ〜、エクセルが回復してくれたから
エクセル: 頑張って補助に回りますねぇ
レオン: よろしくね〜
エクセル: は、はいです
ガート: しかしこんなのは敵ではない!
ガートランドは強い口調で言った。
レオン: ドラゴン〜
ガート: そうだ。その前にヒルデベアも……
エクセルはその間しきりにガートランドの顔色をうかがっていたが、ためらいがちに尋ねた。
エクセル: ドラゴンって……やっぱり私達が倒すんですかねぇ
ガート: もちろん! そのために来たんじゃないか。でなきゃまったく意味がないだろ?
エクセル: あうう……そ、そうですか……ふ、踏み潰されないようにしますねぇ……
レオン: きっと大丈夫だよ。がんばろうね〜
レオンは持ち前の笑顔でエクセルに言った。
ガート: 大丈夫、大丈夫。たいしたことないって。みんな過剰に怖がってるだけさ
エクセル: だといいのですが……
レオン: きっとだいじょうぶだよ〜僕達なら〜

Captured Image

そう言ったレオンの表情から笑顔が消えた。茂みの中から巨大なものが飛び出してきたのである。猿のような格好の巨大生物、これが……
ガート: ヒルデベアだ!
K: うお!?
レオン: いっけ〜
ガート: かっこいい!
レオン: へへへ
レオンの一突きで、とはいかなかったが、銃の援護もあり、なんとかヒルデベアを倒すことができた。
エクセル: びっくりしました……
ガート: ま、言うほどたいしたやつじゃないよな
レオン: やっつけたね! ヒルデベア
エクセル: ガートさん、殴られて倒れてましたよ〜〜ご無事でなによりですけど……
ガート: 人生いつも勝ちばかりじゃないさ
ガートランドはふと寂しそうな顔をしたが、何かを思い出したようにポケットを探った。
ガート: あ、そうだ、証拠写真を……
ガートランドがのぞくファインダーには、横たわる巨大なヒルデベアとその周りで勝ち誇った顔をした3人が入っていた。