勇気の証明

学校の友達にラグオル地表での冒険話を聞かされたガート君は、自分でも行ってみたくてたまらなくなり、とうとう近所の仲間と一緒に森へドラゴン退治に出かけました。

景観問題

Captured Image
4人は坂道を登って小高い丘の上に到着した。周囲は木が茂っていて、一目では他の場所と変わらないように見える。しかし、森の切れ間から少しだけ下の景色がのぞいていた。
レオン: いいながめ〜
ガート: どれどれ?
ガートランドとプロト-Kも駆け寄った。そこは崖になっていて、下までの距離は20mほどだった。しかし、それでも、他に大きな山のない森では見晴らしはよかった。
ガート: ほんとだなぁ
レオン: きれいだねぇ〜
ガート: ここもそのうち僕達のものになるんだ
プロト-Kとレオンは崖の縁に立つと、両手をメガホン代わりにして叫んだ。
K: やっほー
レオン: やっほー
K: あっぽー
ガート: 山がないから無理だよ
レオン: あ、そうか〜
K: ちぇ

エクセル: こっちがメスのようですねぇ……
そのころ、エクセルはというと、いつものようにしゃがんで何やらごそごそやっていた。
ガート: ん?エクセルは?
レオン: エクセルは景色も興味ないみたいだね……
ガート: ある意味尊敬できるね。あれほどだと。
エクセル: よし、ここは完了しましたねぇ……
エクセルは立ち上がるとにっこりと微笑んで言った。ズボンについた砂を払い、そして、やっと他の3人に気がついた。
エクセル: あれ?先に行かないんですか?
レオン: いい景色なのに〜
ガート: いい景色、見てかなくていいかい?
エクセル: 景色、ですか?はぁ……
エクセルは、皆と同じように崖の先に立って外をちらっと見てみたが、すぐ回れ右をしてしまった。
ガート: ま、いいならいいさ
レオン: じゃ、いこうかぁ〜
K: おー
エクセル: はい、参りましょう!

坂道を駆け降りて、一行はいつものように広い空き地に出た。
K: ありゃ
レオン: あれ?
ガート: どうしたんだい?
空き地を見回す3人と、その3人を見回すガートランド。
エクセル: ここは、さっきの場所ですねぇ
レオン: 戻ってきちゃった
ガート: よくわからないけど……
エクセル: ほら、血の跡が。あちらに死体もありますし……
エクセルが指さした草むらには、血が点々とついていた。
ガート: ん?ああ、たしかに
レオン: ほんとだ〜
エクセル: どうやら道を間違えてしまったようですねぇ
ガート: 間違えたのではない
ガートランドは胸を張って背伸びをした。
レオン: そうなの?
ガート: 僕達は森を一周する運命にあったんだ
レオン: あ、なるほど〜〜
K: 運命て……
ガート: 僕達が間違えることなんて、ない!
レオン: そうなのか〜
K: 自意識過剰……
ガートランドを見て、プロト-Kはぼそりとつぶやいた。

とにかく、一度来たところには用はない。だが、一度来ているということは、同じように進んだのではまた同じように戻ってきてしまうということだ。どこかに分岐があっただろうか。
レオン: どっちへ行けばいいのかな〜。ドラゴンさ〜ん
エクセル: さて、どちらでしょうか……
K: さあな〜
ガート: さあさあ、今までのはほんの小手調べ。準備運動てなもんだ
エクセルは額の汗を拭うと、両手を固く握りしめた。
エクセル: 準備運動でかなり疲れましたけど……これもドラゴンのフンの為……!

きょろきょろ付近を見回していたレオンが、とぼとぼと歩き出した。
レオン: こっちかな?
ガート: ん?そっちか?
レオンに皆ついていった。