何でも屋8: ささやかな依頼

リフルちゃんの悩みは、大好きなマグにあげる餌が売り切れてしまったこと。「何でも屋」の面々は、一緒に森に探しに行くことにしました。

雨の中の戦闘

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雨の中、森の獣相手に戦闘が始まった。
ストライク: 珍しいな……久し振りにやる気を出したようだ……
アスタシア: なにが?
ゼロ: もしかして、私のことですか?私はいつでもやる気100%ですよ〜
しかし、ストライクの答は違っていた。
ストライク: いや、アスのことだ……
アスタシアは突然自分の名前が呼ばれたのでびっくりした。
アスタシア: え?わたし?いつもはやる気がないとでも!?
ストライク: ああ……
ゼロ: うん
二人の答えは無情にも肯定だった。
アスタシア: えー、そんなことないよー。ほら、今日は3人だし、ちょっとは…ね
ゼロ: そうですかぁ?なにか裏がありそうですねぇ
アスタシア: ないない。ないってば
アスタシアは懸命になって否定する。
ゼロ: この前は映画で仕事せかしてたことありましたよねぇ。もしかして、今回も……
ストライク: あったな……
アスタシア: ほんとにほんと。今日はなんにもない
ストライク: 信じよう……

事情がよくわかっていないリフルにゼロが説明する。
ゼロ: リフルちゃん、アスタシアさんってね、映画に遅れる〜って仕事せかしてたんですよ〜。だから、今回も何かあるのかなぁって
リフル: ……そうなんですか?
アスタシア: は、はい、はずかしながら……
ストライク: まあ、昔の事を言っても仕方なかろう
リフル: は、はい、……仕方ないです
アスタシアは勝ち誇った顔になった。
アスタシア: ほら、リフルちゃんも別に何にも言わないし、そう問題にすることでもないのよ
ストライク: 不服があるなら聞くぞ……
ゼロ: なんで、ストライクさんが怒ってるんですか!怖いよ〜
皆がアスタシアの味方だった。ゼロは完全にあてが外れた。彼はまたリフルの後ろに隠れた。
ゼロ: ふーんだ。どうせ、私はひとりですよ〜だ
リフル: ぁ、あぅあぅ
アスタシア: リフルちゃんの後ろに隠れても丸見えよ
ストライク: 依頼人困らせてどうする
ゼロ: あぅ
リフルの後ろで、ゼロが困った顔になった。
ストライク: 依頼人に迷惑をかける……確か減給対象だったな。ただ働きでいいと思うがな……
アスタシア: ゼロさんには減給はありません
ゼロ: ほぅ
ゼロは一瞬うれしそうな声をあげた。
アスタシア: なくなっちゃうから……
ゼロ: あぅ、ひどい
リフル: あぅあぅ……げ、げんきだしてください
ゼロ: あっありがとう
ゼロはリフルに泣きついた。
アスタシア: ゼロさんにも味方が一人できたみたい。よかったわね
ストライク: 珍しいな……
アスタシア: あ、わたしも味方だからね。ゼロさん。
ゼロ: うっうん
ゼロはうれしそうに微笑んだ。


4人は森の隅々を探し回った。ブーマの待ち伏せにあったり、逆に近寄ってくるブーマを遠くから狙い射ちしたりもした。しかし、メイトもフルイドもなかなか見つからなかった。
リフル: みつかりません……
ゼロ: 出てこ〜い
しばらく探した後、ストライクがまた声を上げた。リフルが急いで駆け寄る。
ストライク: ディフルイドだ…
アスタシア: またあった?よかったわね、リフルちゃん
リフル: は、はいっ。よかったです
しかし、またストライクが手を伸ばす前にゼロがすばやく回収した。
ゼロ: 回収です
ストライク: 荷物持ちがいると楽だ……

ゼロがディフルイドを鞄に収めている所を見ながら、アスタシアが指折り数えながら尋ねた。
アスタシア: これでいくつになったかしら?
リフル: ぇとぇと……
ゼロ: 結構拾ったよ
アスタシア: まだまだ足りないのよね?
リフル: は、はい……まだまだです……
アスタシアは、リフルの肩にのったマグを眺めた。
アスタシア: マグの餌に、かぁ……大切にしてるのね
リフル: たくさんたべます
アスタシア: 忘れてきちゃう人もいるのにねぇ
ゼロ: あぅ

リフルは黙って肩にのっているマグを引っこめると、また別のマグを出した。
アスタシア: あ、あら?今度はまた変わった形のマグね
リフル: ぇ、ぇと……
ストライク: ほう……マーク3か……
ゼロは興味深そうにマグをつついてみた。
リフル: は、はいっ。しらないおじさんがくれました
アスタシア: リフルちゃん、いろんなマグを集めてるの?
リフル: ぇ、ぇとぇと……いつのまにかついてきちゃいます……
アスタシア: でも、むやみに知らない人に物もらっちゃだめよ
ゼロ: そだよ。こわーい人もいるからなぁ
ゼロはちらりとストライクを見た。
リフル: は、はい……ごめんなさい
アスタシア: 今度からは気をつけようね
アスタシアは優しく言った。
アスタシア: まあ、マグがついてくるってことはそれだけ気に入られてるってことだし……
ゼロ: 私はいつもマグさんと喧嘩です。今日も喧嘩してきました。それも、私、こてんぱんにのされちゃいましたぁ
ゼロの肩にはマグがいなかった。
リフル: ぁ、あぅあぅ……
ストライク: マグにすら勝てないのか

ストライクも自分の背中のマグをなでた。
ストライク: 俺もこいつとはつき合い長いな……こいつとは10年来の仲か……
リフル: アプサラスさんです……
ゼロ: 10年…長いですね
ストライク: 一緒に色々な事を乗り越えてきた……
アスタシア: ストさんならきっといろいろあったんでしょうね
ストライク: ああ……しかし……堂々と話せることではないがな……
アスタシア: あら?そんな事が?
アスタシアはいかにも意外そうな顔をした。
ストライク: 俺の歩んだ道は血塗られた物だ……話せるか……

その時、リフルがぶるっと身震いした。
リフル: あめ、さむいです……
アスタシア: あ、ごめんなさい。早く行きましょうね
ゼロ: そっそうですね
アスタシア: リフルちゃん、風邪ひかないように……
リフル: は、はいっ
ストライク: 後で暖かいスープを作ろう……
リフル: ぇ、ぇとぇと……
ゼロ: わーい、スープ♪