何でも屋7:ブラックペーパー秘密基地

今日はストライクが直に依頼を持ってきました。ブラックペーパーの基地の壊滅が目的です。そのころ、ゼロは……

結末

3人が退出した部屋で、男はまだ倒れていた。そこに別の男がやってきた。
BP総帥: ご苦労だったな、ゼロよ。もうよいぞ
ゼロ: やれやれ、わざと負けるのは骨が折れますね
男はむくっと立ち上がると、ぱんぱんと服の埃を払った。
ゼロ: さてさて、私も消えるとするか
二人はゆっくりと部屋を後にした。


アスタシア、なつめと順にパイオニア2に転送されてきた。見慣れた風景を目にして緊張が解けた。
アスタシア: ふう
なつめ: やれやれだよ
そこにストライクも戻ってきた。
アスタシア: あ、おかえり。無事だったのね。よかった。
アスタシアは大きくのびをした。
アスタシア: これで一件落着?
ストライク: 俺はまだやる事がある。報酬はトランクの中だ。
なつめ: まだあんの〜〜?ホント、大変なこと
ストライクはシティの転送装置の中へ消えていった。


アスタシアとなつめは店に戻ると、いつものようにテーブルにお茶の用意を始めた。
アスタシア: ふう、無事帰ってこれたのはいいけど、なんだかなぁ
なつめ: うんうん。わけわかんないよ
アスタシア: 裏世界ってのは怖いわね
なつめ: ホントだよねぇ
なつめはカップから紅茶を一口すすった。
なつめ: しかし……この仕事中にさ、ずーっとつんつんが居たような気がしたんだ。においもしたんだよ
アスタシア: なんで?
なつめ: あのおっさんが……まさかね
なつめは苦笑した。

なつめ: ところでさ、元締めって裏の人なの?
アスタシアは首を激しく横に振った。
アスタシア: そんなんじゃないわよ。あえて言えば別世界かな
なつめ: 別次元の住人!?
アスタシア: いえいえ、冗談冗談
なつめ: まあ、あたしはひかりちゃんのクローンで通じるからね
なつめはまた苦笑した。
アスタシア: 本当にごめんなさいね。あの時は。
なつめ: ううん。みんなだーすきだから許してあげちゃう
アスタシア: よかった
なつめ: しかし、今日はくたびれたよ。はやく風呂入って寝よう
アスタシア: 入ってていいわよ
なつめが部屋を出るのを横目で見ながら、アスタシアはトランクを前に紅茶をすすっていた。


なつめが一風呂浴びて戻ってきたのと同時に、ストライクが帰ってきた。
アスタシア: あ、おかえり
なつめ: 今日はホントにたいへんだったよ
ストライク: ああ……すまなかったな……
アスタシア: 何をした?って言われえると何もしてないけどね
なつめ: まったくだよ
テーブルの真中には、ストライクが持ってきたトランクが置かれていた。なつめが自分の席に座ると、いやでも視線はそれに集中した。
なつめ: この莫大な依頼金、どうしよ?
ストライク: 好きにするといい……
なつめ: でもねぇ、うちにこれだけ金があると仕事にならんでしょ。元締めはどう思う?
アスタシア: お金はあるに越したことはありません
アスタシアは即座にきっぱりと言った。
アスタシア: でもねえ、ストライクさん、本当にわたし達が必要だった?寄付のつもりならお断わりよ
なつめ: それが疑問なんだよね
ストライク: あいつがいるというのは予想外だった……
なつめ: あいつって?だれだっけ?
ストライク: ゼロに似た男だ……
なつめ: ほんとそっくりだったよね。顔も声も匂いも

そう話しているまさにその瞬間、戸の開く音がしてゼロが現われた。
なつめ: あ〜〜〜〜〜!!!
アスタシア: あ、ゼロさん、今日はお休みでしょ?
ゼロ: きちゃった
ゼロは笑った。
なつめ: 今日は大変だったんだから〜〜〜!
なつめはゼロの頭を両方のこぶしではさむと、ぐりぐりと手首を回した。
なつめ: やっぱね、つんつんいないと楽しくないよ〜〜。すっごく間抜けだけど、だーいじな仲間だもんね
ゼロが自分の席につこうとする瞬間、ストライクはひょいとダーツを彼に向かって投げた。ダーツはゼロの顔の前を通り抜けて壁に突き刺さった。ゼロはびっくりしてしりもちをついた。
ゼロ: ストライクさん、ひどいよ〜。いきなり何するんですかぁ
ゼロは椅子に手をかけてやっとのことで立ち上がると、自分の席に座り直した。
ゼロ: なっ、なんかストライクさん怖いんですけど、何かあったんですか?
ストライク: さあな
なつめ: ストライクさん、やつあたりはやめてよ
アスタシア: これでも大事な仲間なんですから
ゼロ: アスタシアさん、これでもってことないでしょう……

ゼロが一服していると、なつめは彼の席の後に回って肩をぽんぽんと叩いた。
なつめ: つんつん、プロレスごっこやろうよ!!
ゼロ: ええ〜、いやですよ〜
なつめ: なんで〜〜?面白いじゃん。空手チョップとかさ、STOとかさ……
ゼロ: えっ遠慮します
ゼロは大急ぎで立ち上がると、表に向かって駆け出した。
なつめ: まて〜〜〜
ゼロ: わわ

ゼロが戸口でもたもたしている所になつめが追い付いた。飛びついて後ろから羽交い絞めにする。なつめはふんふんと鼻を鳴らして匂いをかいだ。
なつめ: う〜〜ん
ゼロ: 何してるんです?
ゼロは照れながら聞いた。
なつめ: いや、ちょっとね

(おしまい)