何でも屋7:ブラックペーパー秘密基地

今日はストライクが直に依頼を持ってきました。ブラックペーパーの基地の壊滅が目的です。そのころ、ゼロは……

始まり

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目的の建物に着いた3人は、さっそく中に入っていった。すると、縦長の部屋の向こうに誰かがいた。
ゼロ: ちっ、今日は客が多いぜ。またきたか
なつめ: だれかいるよ。迷子かな?保護しなきゃ
なつめが近寄るとその男は言った。
ゼロ: おっと、動くなよ
アスタシア: えっと、ここはどこで…どうすればいいの?
なつめ: どうしたの?
なつめがなおも近寄ると、男は手にした銃を前に向けた。男はふふっと笑った。
アスタシア: ち、ちょっといきなり……
ストライク: ふん……
ストライクが一歩前に出て、男と向き合った。なつめは慌てて後ろに下がってきた。

にらみ合う男二人。最初に口を開いたのはストライクだった。
ストライク: 大物がかかったな……
ゼロ: ハンターがなぜこんなところに
ストライク: 悪いが……俺は忍龍でね……ここを消す……
ゼロ: ふふっ、ここを消すって、あんたにそれができるかな?
ストライク: 出来るな……
ゼロ: ふっ、たいした自信だ。それが命取りにならなければいいがな
ストライク: 先月の爆破事件は……俺がやったからな

ゼロ: 知ってますよ。あれはやらせてあげたんですよ。もういらなくなった施設ですからね
ストライク: やはりか……どうりで手薄なわけだ
ゼロ: ふふ。私があなたたちを招き入れたのですからね

なつめ: なぜか喧嘩だね
アスタシア: なつめちゃん、じっとしてないと……
なつめ: なんか、この二人、えらい向き合ったままだね。お見合いかしら
アスタシア: 違うわよ。真ん中に火花がバチバチ飛んでるでしょ
なつめ: なんか知らない単語言ってるよ。すごい会話だねぇ
なつめは大きくあくびをして、退屈そうに歩き回っていた。
アスタシア: なつめちゃんもうろうろしてないで聞いてて

アスタシア: あなた「たち」?
アスタシアは「たち」に強意を込めて、驚いたように尋ねた。
ゼロ: そう
なつめ: だれ、あなたたちって?
ゼロ: そこに死体が転がっているでしょう
男はくくくっと笑った。
ストライク: ち……やられたか……
ゼロ: あなたたちの同僚かな?
ストライク: 違うな……俺の部下だ……
ゼロ: 部下ですか。ふふふ。弱かったですよ。全然手応えがないので楽しめなかったですよ
ストライク: この程度で死ぬとはな……
なつめとアスタシアはこのやりとりを後ろで見ていた。なつめはまたあくびをした。
なつめ: ふぁ〜ぁ
アスタシア: ち、ちょっと、かなりヤバい話みたいよ
なつめ: ヤバい話?どこが?

その時、ストライクが突然走り出した。
ストライク: 先手必勝
ストライクは急速に間合いを詰め、彼の剣は男の腹を確実に捉えた。男は一発でひっくり返った。しかし、男は何もなかったかのようにゆっくりと起き上がった。
ゼロ: どこを狙ってるのですかな?

なつめはその様子を遠くで見ていたが、隣のアスタシアの様子をちらりと見た。
なつめ: やっちゃってるよ。元締め、加勢する?
アスタシア: え、ええ、もちろん
しかし、二人が動く前に相手が動いた。
ゼロ: おっと、あなたたちは動かないでくださいよ
アスタシア: わわ
男は二人に向かって威嚇射撃をした。
アスタシア: は、はい
なつめ: ちっ!!
ストライク: うかつには動けんか……
なつめ: 元締め、危険すぎるから帰ろう
アスタシア: え、ええ、あそこの人がいいって言ってくれたらね
男は腕の時計をちらっと見た。
ゼロ: ちっ、ここであなた達の相手をする時間がなくなってしまいました。私はここで失礼するよ。
なつめ: そこのおっさん……ちっ、きいてないや
ゼロ: まあ、君達が生きていればまたお会いしましょう。ふふっ
男はにやりと笑って姿を消した。アスタシアとなつめはストライクの元に駆け寄っていった。
アスタシア: ちょっとちょっと! どうなってるのよ?
なつめ: あんた、危険すぎるって!!
それと同時に、背後から爆発音が聞こえた。
ストライク: やれやれだ……
なつめ: 爆発したよっ!!
アスタシア: ストライクさんが仕掛けたやつ?
ストライク: 違う

今さっき出てきた部屋は、転送装置もろとも粉々になっていた。

事態の深刻さは変わってはいないが、男がいなくなったことで当面の危機は去った。2人はストライクに説明を求めた。
アスタシア: うー、わからない事が多すぎる
なつめ: 依頼自体わかんないことだらけだしな……てゆーかさ、あのおっさんだれ?知り合い?
ストライク: 幹部だ……BPの……な。
アスタシア: BP!?
なつめ: BP!?
二人は同時に同じ声を発したが、意味あいは微妙に違っていた。
なつめ: なんだそれ?
アスタシア: 要するに悪いやつらなのよ
なつめ: ふぅん、って、おい!! 悪いやつらなのかっ!!
ストライク: 巻き込むつもりは無かったが……どうやら、巻き込んだようだ……
アスタシア: まあ、ああいう仕事を引き受けた以上、少々は覚悟がありますけどね
なつめ: しょーがない。付き合うよ。地獄の底までね
ストライク: すまん……

なつめは現在の事態についてはあきらめがついたが、もう一つ納得いかないことがあった。それは、この場にいない一名についてである。
なつめ: そーいえばさ、つんつん、なにしてんの?
アスタシア: さあ?どうせ家でゴロゴロしてんじゃないの
なつめ: 元締め、緊急呼出しできない?
アスタシア: 呼び出して……いいのかなぁ……ゼロさんが来ちゃったらまた巻き込むことに……
なつめ: 一人より二人
なつめはそう言いながら自分の携帯電話を取り出した。
なつめ: もしもし〜
電話の声: ただいま電波の届かないところにおります。しばらく時間をおいてお掛け直し下さい
なつめ: ちっ!! 電波届かないか
なつめは悔しそうに舌打ちした。
なつめ: どうせ押し入れの中でゴロゴロしてるよ。ほっといていこっ!!
アスタシア: まあ、いて役に立つかというと……
なつめ: おとりに役立つ
ストライク: 死ぬぞ
なつめ: まあいいや、とにかく行こう
なつめはいつもの調子を変えずに通路へと向かった。