何でも屋4: 閉じこめられた!?

「坑道内部に閉じ込められた人がいるらしい」こんな情報を受けて、何でも屋の面々に調査と救出の依頼がやってきました。まあ、ストライクさんもいることだし、大丈夫でしょう。

困難は続く

アスタシア: ここは……パイオニア2じゃない……
4人が到着した先は薄暗い緑の照明の灯った部屋だった。
ゼロ: 違うみたいですね
ダーク: まだ奥だ
アスタシア: あぁぁ……
アスタシアはため息とも悲鳴ともつかない声をあげた。
ゼロ: がっくし
アスタシア: まだあるんですね……
ダークは何も言わず、ただ目で扉を指した。
アスタシア: わかりました。行きましょう


ゼロは部屋の隅にクローが落ちているのを見つけた。手にはめてみると意外としっくりきた。アスタシアに向かっておどけてクローを振り回してみた。
ゼロ: がぉ
アスタシア: わ、わ、なになに? あぁ、驚かさないでよ
そんなやり取りをストライクはうつろな目で見ていた。ふわりと身体のバランスを崩しそうになり、あわてて足を踏ん張った。
アスタシア: ストさん!
ストライク: 大丈夫だ……
ゼロ: いいんですか、アスタシアさん。このままで
アスタシア: でも……帰れないんじゃどうしようもないし……
ゼロ: それはそうですけど……
アスタシア: 逆に聞くわ。どうしたらいいっていうの?
ゼロ: ……ぼくたちががんばる
ストライク: すすむ……それだけだ

ダーク: 待ってろ
ダークは厳しい口調で言うと、出口に向かって歩いていった。
アスタシア: はい?
ダーク: 掃除さ。
アスタシア: 掃除?
ダーク: だから、待ってろ
アスタシア: ここで?そんなわけにはいきません。わたしたちも……というより、わたしたちが……
ストライク: 掃除など必要ない。行くぞ
ストライクもふらふらとダークの後についていった。
ダーク: 倒れるなよ
ダークはため息をついて言った。

ゼロもまたため息をついていた。
ゼロ: あう、二人とも頑固なんだからぁ
アスタシア: ゼロさんはここで待ってるって?
ゼロ: うっ、こんな暗いとこいやです。いく〜
アスタシア: それでいいのよ。ただ座って待つなんてとてもつらいことだわ
ゼロ: やれやれです

ダーク: ゼロと俺が先行する。ゆっくり来い
ゼロ: えっ! あうあう
ストライク: 先行はハンターの役目だ……
ダークは逃げようとするゼロをつかまえると、引きずって先頭に立った。ストライクを無視してずんずん先に進む。
アスタシア: わ、わたしも
ゼロ: はぁ……はぁ……はぁ……
後の2人もあわてて続いた。


ダークが後ろを振り返ると、アスタシアとストライクが走ってきていた。ダークはまたため息をついた。ゼロはくすくすと笑った。
ゼロ: 無駄ですよ。この人たちに何言ってもね
ダーク: 速攻だ
ダークはそう言うと、もう一つの扉へ急いだ。

扉を開けると、そこは小部屋だった。例の奇妙な柱が立っていた。
ゼロ: へぇ、ここにもあったんだ
アスタシア: うわ、まただ。なんか妙な柱が……

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ストライクはがっくりと膝をついて休んだ。そこにダークが当て身をくわらせた。
ダーク: ストライク……
ストライク: ぐっ
ストライクがその場に倒れているのを横目で見ながら、ダークはアスタシアに話しかけた。
ダーク: アスタシア、看護を頼む。カードで知らせる
アスタシア: 看護を、っていってもなぁ……起きたらわたしでは抑えられないわ
ダークはフッと笑って小部屋の出口に向かった。
ダーク: ゼロ行くぞ
ゼロ: あーあ、僕は男と二人かぁ
ストライクのうめき声を聞きながら、ゼロとダークは部屋を後にした。


ゼロ: しかし、ナイスです。ダークさん
ダーク: フン
ゼロはにやにや笑いながら、正面からダークの顔を見た。
ゼロ: ふふ〜ん、ダークさんも愛想悪いけど優しいんだぁ
ダーク: ……行くぞ
ゼロ: あっ、少し照れた?
くすくす笑うゼロにダークはがつんと蹴りを入れた。
ダーク: ……アホ
ゼロ: いたい……うう……ダークさんがぶったぁ
ゼロは脱兎のごとく逃げ出した。


ストライク: ぐっ……う……
ストライクは目を開けると、ゆっくり上半身を起こした。
アスタシア: だめ、もうちょっと寝ててよ
ストライク: く……そ……
壁に手をついて立ち上がろうとするストライクに覆いかぶさるようにアスタシアが詰め寄った。
アスタシア: 無理をしないで!
ストライク: 邪魔……しないでくれ……
アスタシア: じゃ、邪魔してんじゃないわよ!
ストライク: どいてくれ……
興奮して金切り声を上げたアスタシアにストライクは静かに言った。
アスタシア: ちょ、ちょっと……
ストライク: 先へ進む……
ストライクにぐいぐい押されてアスタシアは後ずさりを始めた。戸口まで戻ったところで、彼女はあきらめて道をあけた。
アスタシア: わかったわ。止めても無駄だよね
ストライク: ……はぁ……はぁ……悪い
アスタシア: ほ、ほんとに大丈夫?
ストライク: ああ……
ストライクは荒い息をしながら答えた。


ゼロ: ふう、結構片付いたね
ダーク: 腰抜けじゃなさそうだな
敵ロボットを一掃して2人はほっと一息ついていた。ふとダークが後を見ると、彼らが来た扉に誰かが立っていた。ストライクとアスタシアだった。
ゼロ: あっ、来ちゃったんだ
アスタシア: ダークさん、ごめんなさい
ダーク: ……好きにしろ
ストライク: ふん……
アスタシア: やっぱりわたしには無理だったわ
4人は再び合流して、一つの輪となった。
ゼロ: まあ、しょうがないよね。でも、少しは休めたからいいんじゃないかな
ストライク: あの……柱だろう……
アスタシア: それが……あんまり治ってないみたいなんなけど…
ゼロ: そっそうなんだ。ふーん、僕は逆にあの柱見てから、力湧いてきたけどなぁ。なんでだろ……?
ゼロは自分の頭をぽりぽり掻いた。
ゼロ: まぁいいか
ストライク: ……行くぞ
ストライクはふらふらと歩き出した。彼が本当に回復したのかどうかはよくわからなかった。