頼りない仲間
坑道の中に足を踏み入れると、そこは暴走機械の巣だった。先に進むには破壊するしかなさそうだ。ダークは銃を斉射した。弾が切れるとそれをしまって新しい銃をホルスタから抜き出した。
ゼロ: ロボットだぁ
アスタシア: うわ、なにこれ。機械が襲ってくるじゃない! こんな中を進めっていうの？
ゼロ: アスタシアさんが言ったんじゃないですかぁ
ストライク: 壊した奴に文句を言え
ゼロ: ええ〜〜
アスタシア: ま、まあ、たしかにストさんに文句を言ってもしょうがないわね
突然、ゼロが妙なことを言い出した。
ゼロ: あれは、敵が仕組んだトラップですよ!!
一瞬、室内は静まり返った。
アスタシア: 敵ってだれよ？
ゼロ: えとえとえと……びっBP!!
今度の沈黙はもう少し長かった。
ストライク: ほーう
そしてゼロは自分で言った事の矛盾に気がついた。そういえば、自分もBP工作員だった。もちろんここの連中には明かしていないが。彼は頭をかかえた。
ゼロ: んとんと……あはあはあはは
アスタシア: そんなの知らないわよねぇ、ダークさん
ダーク: あれはアホか？
アスタシア: まあ、そんなもんです
ダークはうなずいて思わず溜め息を漏らした。ストライクがじっとゼロを見つめると、ゼロは慌てて目をそらした。ストライクはその素振りに何かを感じとったのか、ゼロの後頭部をがすんと殴りつけた。
ストライク: はぁ……
ゼロ: いたいですぅ。ストさんが殴ったぁぁ
ゼロは目に涙をためながら、アスタシアを訴えかけるように見つめた。しかし、今日はアスタシアも冷淡だった。
アスタシア: いいの。今日だけは許します
ストライク: 了解した……
ゼロ: え〜〜
ダークはそんな3人の様子を呆れながら見ていた。ため息をつくと、疲れた声で3人に話しかけた。
ダーク: で、だ。……進もう
アスタシア: は、はい
ゼロ: 進みましょう!
一行は重い腰を上げた。
アスタシア: ところでダークさん、あなたのお仕事とやらはいいんですか？
戦闘が落ち着いたところでアスタシアが聞いた。
ダーク: 俺も奥さ
アスタシア: ああ、じゃ一緒に行けばいいのね。よかったぁ
ゼロ: やったぁぁ、強い味方ができたね
アスタシア: なんだか帰れるような気がしてきた
ゼロ: ストさんにダークさん、もうばっちりだね
ダークはもちろんストライクのことは知らないが、2人には相当信頼されているらしいことはすぐ分かった。ダークはストライクの身なりをもう一度じっくり見た。どのくらいのレベルだろうか？あとの2人は論外だが……。しかし、ストライクは荒い息をしていた。戦闘が終わってかなり経つのに、だ。顔が少し赤い。
ダーク: さては……体調悪かろう!
ゼロ: えっ!？ストさん、体調悪いの!？
ストライク: そうでもないが……
アスタシア: ほら、そうでもないって
ストライクはそう言ってはいるが、どうやら図星らしい。
ダーク: まぁいい……足を引っぱるなよ
ストライク: お前こそな……
ダーク: ……フン
アスタシア: 大丈夫、既にここに足を引っ張るのがいるから
ダーク: だな
ゼロ: もしかして、僕のこと？
アスタシア: さあてね
ゼロ: あう
アスタシア: さて、どんどん行きましょう
ダークはうなずいた。そして、3人がずんずん歩く方についていった。しかし、通路をくぐった先は見覚えがあった。
ストライク: 戻ってきたようだ……
ゼロ: 迷った？
アスタシア: こっちじゃないの？
ゼロ: こっちこっち
ダークはアスタシアの肩をつかんで、彼女の耳元に顔を近づけた。
アスタシア: な、なに!
ダークは小声で話しかけた。
ダーク: あいつ、無理をしている
アスタシア: 無理？
ダークはうなずいて肩を離したが、アスタシアは彼の言うことはよくわからなかった。
アスタシア: うーん……ゼロさん、無理してる？
ゼロ: えっ、僕？うん
アスタシア: 無理してるの!？どこを？
ゼロ: 無理してついてきてる
こんな彼らを見てダークはため息をついた。
ダーク: ……こっちもか