何でも屋2: ボーナスをもらおう!

政府から突然、緊急の依頼が舞い込みました。アスタシアは慌てて全員を召集し、急いで現場に向かいます。なんと、ボーナスまで大盤振舞いしちゃうとか。

強権発動

次の部屋では、例の青いロボットと、ほぼ同型の黄色のロボットが襲ってきた。何体も出てきて波状攻撃をしかけてきた。
ゼロ: わわ、敵さんがいっぱいです
ひかり: こわかったあ
アスタシア: あの青いの、こっちにはたくさんいるのね
ストライク: そうだな
アスタシア: 1階と同じように簡単には行かないのね……
というと、アスタシアはまた腕時計を見つめた。
アスタシア: まずいな……間に合うかしら?
ストライク: 急ぐぞ

通路を走って通り抜け部屋に入ると、青いロボットがまたもや出現した。それれの腕が素早くうなって、アスタシアの頭に命中した。
アスタシア: いたいっ!
ひかり: あ〜、血が出てるよお
アスタシア: だから戦闘はいやなのよ……まったく……
アスタシアはぶつぶつつぶやいた。ひかりはそれに気がついてレスタをかけた。
ひかり: どうかなあ、痛くなくなったあ?元締め〜
アスタシア: 大丈夫よ。わたしの事は心配しないで
ストライク: 無理はするなよ
アスタシア: ええ、わかったわ
アスタシアはうなずいた。そして、ストライクを上目づかいに見た。
アスタシア: でも、いっつも仕事しろって怒るくせに…今日は優しいのね
ゼロ: なに二人で見つめあってるんですかぁ
ゼロはくすくす笑った。
アスタシア: な、なんでもないわよ
ストライク: 怪我人が出るのがいやなだけだ……
ひかり: ふうん、やさしいんだね

アスタシアは笑いがまだ止まらないゼロに向かって言った。
アスタシア: なによ、そのにやついた顔は!
ストライク: ゼロ…その首かっ斬るぞ
ゼロ: あう
ゼロはあわてて逃げ出し、人の後に隠れた。
アスタシア: ストさんもちょいと乱暴すぎるわよ。いくら言葉だけだって言ってもね
ゼロ: 暴力はんたーい
ストライク: こういう性格だ……
しかし、アスタシアはふふっと笑うと、ゼロの方に向いて優しく言った。
アスタシア: ゼロさん、大丈夫よ。口だけなんだから
ゼロ: そっそう?
アスタシア: ストさん、本当はとーってもやさしいのよ
ゼロ: それって、店長だ……
と言ってからゼロはあわてて口をおさえた。
ゼロ: いや、えとえと…ささ、時間ないんですし進みましょう

ゼロは急いで通路に出ようとしたが、後ろからアスタシアの無情な声が響いた。
アスタシア: えーと、ゼロさん、-2、と
ゼロ: ええ〜〜! アスタシアさ〜〜ん、そりゃないですよ〜
アスタシア: 文句ある!?言ったでしょ?わたしが査定するって
ゼロ: うう、さっきのって関係ないじゃないですかあ
アスタシア: ゼロさん、-3っと
ゼロはあきらめたようにぼそりと言った。
ゼロ: アスタシア店長、根に持つ方なんだ……

一番後にいたアスタシアは、通路までよく通る声で言った。
アスタシア: ほら、時間がないのよ
ストライク: 先を急ぐぞ……次だ……


いつものように空飛ぶ円盤機械や二足歩行ロボットを相手にしながら、アスタシアはつぶやいた。
アスタシア: さあて、もうそろそろ終わりだと思うけどな〜
戦いも一段落ついて皆一息ついた。
ゼロ: ぜぇぜぇぜぇ、つかれたぁ
ひかり: だいじょうぶ〜?

と、その時、突然また例の巨大ミサイルポッドが現れた。
アスタシア: まだよ!
ひかり: 戦車だあ
ストライク: ミサイルか……

不意をつかれて苦戦したが、なんとか倒すことができた。
アスタシア: たいへんな数の敵だったわ。ということは終わりも近いわね
ひかり: うんうん
ゼロ: はぁはぁはぁ、僕もうだめ〜。精神力使いはたした
ゼロはその場でがっくりと膝をついた。
ゼロ: もうテクニック使えないや
アスタシア: ゼロさん、なに言ってるのよ。これからが一番大事なんじゃない
ストライク: 使え……
ゼロ: うっ、死んじゃいますよ〜
アスタシア: そこをがんばらなきゃ
ひかり: がんばれ〜
ひかりも後ろから声をかけた。
ゼロ: わかりました。えっと、確か鞄にフルイドがあったと思うんだけど……
ゼロは鞄を開けて手を奥までつっこんだ。
アスタシア: ちょっと待っててあげるから、ゆっくり回復してね
ゼロ: 奥の方かなあ
ゼロはしばらくごそごそやっていたが、やがてパッケージがうす汚れたフルイドを取り出した。
ゼロ: えとえと、あったぁぁ! トリフルイドあったよ
ゼロはパッケージをしげしげと見つめた。
ゼロ: うわっ、ちょっと古そう。どっ、どうしよ
ひかり: あはは
アスタシア: それ使って元気出してね
ゼロ: ええ〜、これ使うんですか。うーん
ゼロは鼻をつまんで一気にそれを口の中に入れた。
ゼロ: まずい〜〜
アスタシア: 大丈夫?いい薬はまずいものなのよ
ゼロはごほっごほっと咳込みながらもそれを飲み込んだ。
ゼロ: なっ、なんとか回復したと思う
アスタシア: 大丈夫かなー?ゼロさん
ゼロ: だっ大丈夫じゃないですよ〜
アスタシア: 大丈夫じゃなくてもがんばってもらわないとね
ゼロ: 人使い荒いです
アスタシア: ふふっ、いつものことでしょ

その頃、ひかりはストライクの顔を不思議そうに見ていた。
ひかり: ストさん、なんかうれしそう。気のせいかな?
ストライク: 何がだ……
ひかり: 凄い戦いが待ってるから?
ストライク: さあな……
ひかり: 腕のふるいどころだからね。がんばってね
ストライク: ああ…

ひかり: じゃあいこっか
ひかりの明るい声をきっかけに皆歩き始めた。


さっきまでいた大部屋の扉を意気揚々と開けると、そこはただの狭い部屋だった。
アスタシア: あら、倉庫だったのね。なんか拍子抜けだわ
ひかり: ここじゃないのかあ
ゼロ: わわ、僕のせいじゃないよ
ひかりは大部屋に戻って別の扉も開けたが、同様にただの部屋だった。
ひかり: ここもだよお

一同は大部屋に集まった。
ゼロ: あらら、道に迷った
アスタシア: え?ここまで来て道に迷うとは……
ゼロは自分で書いた地図とまわりを見比べた。その隙に、ひかりはもう一つの扉に向かった。
ひかり: 後はここかあ?
ゼロ: あっ、そこですよ、ひかりさん。きっとそこです
ひかりが扉を開けると、そこには大きな転送ゲートがあった。
アスタシア: あっ、ほんとだ
ストライク: ビンゴ…
ゼロ: よくわかりましたね
アスタシア: ひかりちゃんのカンの方が頼りになる…かな…
ゼロ: うっ
ひかり: えへへ、ほめられたあ、わあい
がっくりした顔のゼロと、にこにこ顔のひかりが全く対照的であった。