何でも屋2: ボーナスをもらおう!

政府から突然、緊急の依頼が舞い込みました。アスタシアは慌てて全員を召集し、急いで現場に向かいます。なんと、ボーナスまで大盤振舞いしちゃうとか。

お互いへの想い

転送ゲートの先の第2層は、緑色の照明で、第1層とはどことなく雰囲気が違っていた。
ひかり: なんか雰囲気違うなあ、今度はあ
ストライク: 薄暗いな……
ひかり: うんうん
ゼロは身体を震わせてた。
アスタシア: ゼロさん大丈夫?
ゼロ: えっ、だだいじょうぶ。そっそんなことないです
アスタシア: 声が震えてるわよ?
ストライク: 幽霊でも出そうだな……

その時、一足早く部屋の出口に立っていたひかりが言った。
ひかり: 円盤がくるよ
それを合図に全員一斉に部屋の中になだれ込んだ。


戦闘が終わった時、ゼロが部屋の隅から走って戻ってきた。
ゼロ: へへ〜、いいものみつけちゃった
アスタシア: なになに?
ひかり: え〜、見せて見せてえ
ゼロが差し出した手の中にはマテリアルがあった。
ストライク: ほぅ……
ひかり: ほんとうだあ。すごいね〜
ゼロ: ふふ〜ん
アスタシアはふふふと笑った。
アスタシア: お仕事中に見つけたものは店のもの!
ゼロ: ええ〜〜
ひかり: そうなのお?
アスタシア: と言いたいけど、これが店のものでもしょうがないから、見つけた人にあげるわ
ひかり: ゼロさんはもっとたくましくならないとね
ゼロ: えっ、僕はいいよ〜。ストさん使ってよ
ストライクはゼロが渡そうとするのを手で遮った。
ストライク: ひかりに譲ろう
ひかり: いいのお?これ以上むきむきになるのやだけど、みんなの好意だからもらうよ
アスタシア: ほらほら、誰でもいいからもらっちゃいなさい。その分お仕事がんばってね
ひかりはパワーマテリアルを口にした。
ひかり: うーん、ちょっと強くなったかなあ?どうかなあ?
アスタシア: さあ、次の部屋で試してみましょ
アスタシアが杖で扉を指し、皆ゆっくりと歩き出した。

ゼロ: あれってカロリー高そうなんだよなぁ。運動しない僕はちょっとなぁ
ゼロは聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやいた。
アスタシア: だからいらないのよ、わたしは。
ひかり: はあい?なんか、いやああな言葉が聞こえたような……
ゼロ: きっ、気のせいだよ


例の青いロボットがまた出現した。ゼロはスティングティップを手に果敢に向かっていったが、相手の一発をくらってしまった。ゼロが倒れている間に全員が力を合わせて無事それを倒した。
ゼロ: いたい
ひかり: また青いロボットだあ
アスタシア: でも、ゼロさん今日は戦闘もがんばってるのね
ゼロ: ふふ〜ん♪そりゃ〜ね
アスタシア: 痛いということはそれだけがんばってるってこと
ひかり: コンペイトウすごいね
ゼロは笑って言った。
ゼロ: ボーナスがね
アスタシア: 期待しててね。ボーナス。
ゼロはにこやかな顔をしていた。


次の部屋は、部屋の真中に柵があって、向こうに行けないようになっていた。そして、部屋の片隅には柵のスイッチがあった。
ゼロ: 見っけ〜
ひかり: 今度はゼロさんが押すんでしょ
アスタシア: さあ、ゼロさん、どうぞ
ゼロは喜々としてスイッチを押すと、ピッという電子音がして柵が解除された。ストライクは柵の向こう側を見て言った。
ストライク: トラップが多いな……
アスタシア: トラップ?
アスタシアが言うと同時に、部屋に爆発音が響いた。
アスタシア: わあ、物騒なところね
ひかり: 爆弾だあ、こ、こわいなあ
ひとしきり爆発音が続いた後、部屋はまた静かになった。
アスタシア: もう大丈夫かしら?

ゼロも部屋の隅のスイッチのある場所から出てきた。
ゼロ: へっ?トラップあったの?
アスタシア: 気づかなかったの!?ストライクさんが取り除いてくれたわ
ゼロはまたストライクを見上げた。
ゼロ: すごい〜。さすがだね


ひかり: 広い部屋だあ
一行が入った部屋は確かに広かった。そして、そこには数多くの機械があった。
ひかり: 金色のもいる〜

そして、一同を驚愕させたのは、巨大な自走ミサイルランチャーだった。野戦で見ることはあっても、普通は部屋の中にあったりはしない。そして、人間を標的にすることもない。
アスタシア: わ! なにあれ!
ひかり: なんか、戦車みたいだったねえ
アスタシア: あんなのまでいるんだ……
ひかり: いろんな物騒なモノがあるんだなあ。だから掃除しないといけないんだね
ストライク: 何かの殲滅兵器のようだが……
アスタシア: でもたいした怪我にならなくてよかったわ
アスタシアは他の3人を見回して言った。

ゼロ: なんだろうね、ここ?
アスタシア: さあ?パイオニア1の人が残していった、って、そのくらいのことしか知らないけど…
ゼロ: もしかして、秘密基地〜とか
ゼロはきらきらと目を輝かせていた。戦闘では決して見せない表情だ。
ひかり: あはは。だからロボットさんが出てくるかなあ?秘密基地だからあ
ゼロ: きっとそうですよ〜
ストライク: それはない……
ゼロは不満げに言った。
ゼロ: その方が面白いじゃないですか
アスタシア: 秘密基地、かっこいいわね
ストライク: 工場というのが妥当だ……
ゼロ: 工場ですか…
ストライク: 兵器工場だろう……

その時、アスタシアが杖の尻で地面を大きくドンと叩いた。皆の視線が集まった。
アスタシア: 決定! ここは秘密基地です! わたしがそう決めました!
ゼロ: 店長〜、さっすが〜
ひかり: 元締めがそう言うんだから、きっとそうなのかな
ストライク: 何も言わん
ストライクはあきれたようにそっぽを向いた。
アスタシア: 政府や学者がなんと言おうとそなの!
ひかり: とにかく目的はあ、おそうじ〜! 綺麗な秘密基地にしなきゃ
ゼロ: きっと、奥に進むともっとすごいのが出てくるんですよ。きっとね
アスタシア: 秘密基地はそうでなくっちゃ
ストライク: せいぜい管理ロボだろ……
ストライクはぼそっと言った。
アスタシア: ストさん、そんな夢のないことばかり言わないの
ゼロ: ストさんは夢がないなあ
ストライク: 現実を言っているだけだ……
アスタシア: そりゃ、現実はそうかもしれないけどね……
そう言ってアスタシアは何げなく腕時計を見て、そして慌てて言った。
アスタシア: あっと、あまり時間がないわ。急ぐわよ
ストライク: ああ……