何でも屋15: 決着

アスタシアがいつものように店に出てくると、ストライクさんが置き手紙を残してどこかへ消えてしまいました……

予感

遺跡の敵は何もかもが異質だった。様々な形態の敵がいたが、倒すとふわっとかき消えてしまった。
ひかり: 見たこともないような怪物だ。まるで実体がないみたい
ストライク: こいつは……人間だった……
ひかり: そっか……それで言ってたんだね。あの子達。
ストライク: 生物兵器にされ……自分を無くし……人を襲う
ひかり: 違うよ。助けて……殺してって言ってたよ。だから攻撃の手を緩めてくれたんだ……
アスタシア: 深く考えちゃだめよ
ゼロ: 私は何も聞こえないよ
アスタシア: ええ

ひかりは、バータで固まったモンスターに棺を連想した。天を仰ぎ見て、そして祈った。
ひかり: 安らかに……
アスタシア: どうしたの?さっさと行くわよ
ストライク: ああ
アスタシアにせかされて、一行は早々とその場を立ち去った。


Captured Image
アスタシア: ここは……?
ゼロ: なんか広いとこに出たね
ひかり: 棺の安置場所……みたい
一行は大広間に出た。部屋の中だというのに霧がかかっており、不気味な雰囲気だ。ストライクは部屋に入ったとたんまた苦しみ出した。
ストライク: っく……うぉぉぉぉぉぉ
アスタシア: どうしたの?
見ると、ストライクの身体に黒い霧が集まってきた
ひかり: 憎しみの心が……闇の使者達に近づく……
アスタシア: どうしちゃったの?
ストライク: いいかげんに……邪魔をするなぁ!
ストライクは霧を吹き飛ばした。
ストライク: ちっ……行くぞ
アスタシア: はい

広間を抜けて、長い廊下にさしかかった。
ゼロ: 結構深くまで来たね
ひかり: おかしいな……だんだん声がしなくなってる
ひかりはきょろきょろ見回して、壁を触ってみた。
ゼロ: 声?
ひかり: うん、相手の気持ちが聞こえてきたのに……
ゼロ: 始めから聞こえてないけど……
ひかり: ここの中核に何かが集中してる……みたい
ストライク: 強い何かを感じる
ひかりは気持ちが悪くなって、壁に手をついてもたれかかった。
アスタシア: なにがどうしたの?
ひかり: わからない、けど……
アスタシア: こういう所であれこれ思い煩っては負けよ。前だけを見て勢いで行かなきゃ
ひかり: ここの施設、ブラックペーパーだけに関わってるわけじゃない……かも
ストライクは目を閉じ意識を集中していた。
ストライク: ふぅぅ……この下に大きな気配を感じる……敵と……霊と……人?
ひかり: そっか……みんなきっとそこにいるんだ
ストライク: この気配……俺の……育ての親か
ゼロ: 親が敵ですか……
ストライク: 親といっても、BPの研究者……敵だ
アスタシア: 親??そう……
ゼロ: いいんですか?それで?
ストライク: いいんだ……
ゼロ: こうなる事が分かっていたみたいですね……
ストライク: あいつは……俺の右目を奪い……姉を殺した
ひかり: それだけじゃないみたい。もっと大きな……別の……闇の波動?うう……
ひかりはまた苦しみ出した。
ストライク: ひかり……気をしっかり持て……自分が自分でいられるように……な
ひかり: うん
アスタシア: 急ぎましょう。ゆっくりしているほどおかしくなっちゃう
ストライク: こっちだ……
ストライクを先頭に、4人はさらに奥へと進んだ。


ひかり: やっぱり変だ……ここのモンスター、実体を感じない……何かに吸い取られてる
ひかりは突然立ちどまった。
ひかり: ここ……また変な感じが……
アスタシア: また?
ひかり: うん、さっき、奥の方に感じてた、あの感じ。
アスタシア: といっても、急ぐか帰るか二つに一つ。後者の選択はないんでしょ?
ひかり: この奥に何かがあるんでしょ……?
ストライク: ここまで来て戻る訳にはいかん……
アスタシア: じゃあ行きましょう
アスタシアを先頭に、4人はさっさと先に進んだ。


Captured Image
転送機を抜けてさらに奥へと進むと、壁の様子が変わってきた。暗い青を基調としたデザインから、赤が基調に変わった。何か生体の内部を思わせる。
ストライク: 上と雰囲気が違う……
アスタシア: そうねぇ、気がついてみれば
ひかり: 波動が集中してるみたいだね……
アスタシア: 波動とかなんとかはよくわからないけど……
ストライクは目を閉じて意識を集中させていた。
ストライク: ……駄目だな

その時、ゼロはその奇妙な壁を観察していた。
ひかり: ゼロさん、さっきから壁とか見てるけど、そんなに興味があるのかな?
ゼロ: 遺跡を調べてるのさ。波動がどうとかわからないからね。こうやって調べていくしかないんですよ。それに、なかなか面白い構造してるし……
ひかり: そっか。そういえば、それで遅れ気味だったよね
ストライク: 波動とは生命が持つエネルギーだ……普通は闇にも光にも近くはないのだが……
ひかり: でも……ここから感じるのは、嫌な感じだよ
ストライク: ああ……
アスタシア: そんなこと言われてもよくわからないのですけど……
ゼロはずっと壁を調べていたが、顔をしかめてこう言った。
ゼロ: ふむ……これは……少し急いだ方がいいかもしれませんね。あきらかに浸蝕が激しすぎます
ひかり: そうだね……
アスタシア: 急ぎましょう
ゼロ: もしかしたら……手遅れ……
ゼロは途中で言葉を飲み込んだ。
ストライク: ゼロ……何を知っていてもかまわん……だが……アス達には手を出すな
ストライクはゼロを部屋の隅に引っぱっていき、小声で話しかけた。
ゼロ: 何を言ってるのかわからないですよ?
ストライク: 無理に隠す必要はない
ゼロ: 手を出すわけないじゃないですか〜。私が何かしたのかな?
ストライク: ……わからないならいい。行くぞ
ゼロ: 変なストさん

アスタシア: 話は終わった?
戻ってくる二人にアスタシアが声をかけた。
ゼロ: うっうん
ストライク: 行くぞ……


スイッチを操作して、ゼロが得意気に言った。
ゼロ: 開いたよ〜
ひかり: ゼロさんだけ全然平気みたいだけど、どうしてなのかな?
ストライク: やはり……二重人格か……?
実際、こんな重苦しい場所において、ゼロはいつもより元気がいいくらいだった。

そして、遺跡の奥に回復装置を見つけた。
ひかり: こんな所に回復装置があるなんて
ストライク: そのようだ
ひかり: どうして……ここに
アスタシア: ありがたく使わせてもらいましょう

回復装置のある小部屋から先は、延々と続く長い廊下だった。
アスタシア: 長い通路……
ひかり: う……ああ……
ひかりは突然膝をついた。ゼロが心配そうに声をかけた。
ゼロ: 無理しなくていいからね
ひかり: この……奥……から……
アスタシア: どうしたの?この奥がどうかしたっていうの?
ひかり: 強い……波動が……
ストライク: くっ……黒い……力……ぐ……
ストライクは懐からナイフを取り出し、二の腕にぐさりと突き差した。荒い息をしている。
アスタシア: ちょっと!何やってんのよ!
ひかり: スト……ライク……さん……そこまで……して……
ストライク: 行く……これは俺が決着をつける
ひかり: 飲み込まれてしまうかも……しれないんだよ……ストライクさんも……同じになってしまうかもしれないんだよ
ストライク: 未来は……わからん
亡者の笑い声が幻聴のように響き渡った。
ストライク: 邪魔だ……亡者ども
ストライク: 行くぞ。決着をつけにな
アスタシア: 行くわよ。決着を見届けに
ストライクは振り返った。そして、アスタシアを見つめた。
ストライク: アス……
アスタシア: なに?
ストライク: もしもの時は……俺を撃て。頼むぞ……
アスタシア: わ……わかりました
ひかり: 大丈夫……ひかりが助けてみせる
アスタシア: 大丈夫。もしもの時なんて来ないんだから
ひかり: きっと……救って……みせるよ……。滅ぼすんじゃない……助ける……んだよ
ゼロに見守られながら、ひかりはよろよろと歩き始めた。
ひかり: はぁ……はぁ……ありがとう、ゼロさん。少しは良くなったみたい