何でも屋11: ひかりちゃん合格おめでとう

ひかりちゃんの追試は無事合格でした.これで無事に明るいパーティーができますね.あまり羽目を外さないで下さいよ.

じいさん登場

Captured Image
ひかり: 元締め〜, おじいさんが来てくれたよ〜
ひかりさんは大喜びで出迎えていました.
アスタシア: ああ, これはこれは. どうもどうも
じーさん: はじめまして, じゃな. いつもわしの孫娘が世話になっとるの
ひかり: これがひかりのおじいちゃんなんだよお
どうやら, ひかりさんのおじいさんのようです.
なつめ: じーさん, 腰どうしたの?
じーさん: 腰はぼちぼちじゃい
なつめ: 腰治ってよかったね
ひかり: よかったあ, 心配したんだよ

アスタシアさんはおじいさんに一礼すると, 奥のジーニちゃんを呼びに行きました.
アスタシア: ジーニちゃぁ〜ん? ささ, お客さんにご挨拶しましょうね
なつめ: そうそう. 挨拶しないといい子じゃないぞ〜〜!!


なつめさんも, おじいさんが来た時にとてもうれしそうな顔をしました.
なつめ: つんつん, だじゃれ合戦だ
じーさん: ダジャレだとぉ? わしは高尚なエスプリに富んだ会話しかせんぞい. なぜならば, そらわしが素敵なじいさんじゃからじゃ
なつめ: うそこけ!!
なつめさんは即座に否定します.
ゼロ: えとえと, ふとんがふっとんだぁぁ
なつめ: 時計はほっとけい!!
ジーニ: ここ……すごく寒い
ゼロ: さぶい?
なつめ: どっちが寒いのよ
じーさん: ちっちっ, なっとらんの, ナツメもそっちの坊やも
なつめ: じーさんにはかなわないや


おじいさんの周囲に皆集まりました. ゼロさんとジーニちゃんは, 不思議そうな顔でおじいさんを見ていました.
アスタシア: ひかりちゃん, みんなにわかるように紹介してよ
ひかり: えっとえっと, ひかりのおじいちゃんで, なんか昔「たいようおう」っていわれてたくらいすごい魔道師だったんだってさ. 本当なのかなあ
じーさん: 魔道師!?
なつめ: 師匠!! 一発ギャグをっ!!
じーさん: まーどうしよ!
なつめさんはそれを聞いたとたん椅子からずっこけて, そのまま固まってしまいました.
じーさん: こけるなあっ!
ひかり: も〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 おじ〜〜ちゃ〜〜〜ん, ひかりが恥かしいよお. まったくう
ひかりさんはとても恥ずかしそうにしていました.
じーさん: うぐぐ……こうなったらダジャレは引退じゃ. そしてもっと高度なギャグに挑戦じゃよ
ひかり: 高度なギャグ?
じーさん: そうじゃよ, ひかり
ひかり: ふうん
じーさん: ギャグを言ってその場が寒くなったのではまさに「ギャグ効果」じゃ!
そしてしばし沈黙の時が流れました.
ひかり: みんなが喜ぶような事してよねえ.
なつめ: お願いだよぉ
じーさん: みんな喜んでるではないか
ひかり: そうかなあ?
なつめ: みんな凍っているよ
ひかり: みんなひかりを祝ってくれてるんだからね
じーさん: ひかりを祝う?
みんなはうなずきました.
ゼロ: 呪うんじゃないぞ. いわうんだぞ
じーさん: 祝う……そうか! うんうん, じじいもうれしいぞい. あんなに小さかったひかりがついに「あの日」を迎えたとは……
ゼロ: 赤飯か
じーさん: うむ, 赤飯じゃ
なつめ: 出産も真近だね
ひかりさんはものすごい形相でおじいさんとなつめさんをにらみつけていました.
じーさん: 視線が痛いようじゃ. 気のせいかの
なつめ: かなり……痛いね……
ジーニ: 嘘でも言っちゃいけないよ……
ゼロ: 私はかんけいな〜いと
じーさん: うぐぐ……じいさん, 修行不足じゃ
ひかりさんはふくれっ面で言いました.
ひかり: ひかりが正式にハンターズの免許をとった記念なんだよ.


ひかり: いいもん, ひかりはケーキ食べよっと. おじいちゃんのは無しでね
ひかりさんはカウンターの上のケーキの箱を見ました. かなり前にお出ししましたのに, なんやかんやですっかり忘れられていたのです.
アスタシア: あ,そうだ. ケーキ, ケーキ
じーさん: わしのは無しかい. いいわい, せっかくひかりのために持ってきたイチゴタルトはわしが食うからの
なつめ: じーさんのも残してあげなよ〜〜
しかし, アスタシアさんは暗い顔をしていました. それもそのはず, ケーキの箱を開けると, 出てきたのはショートケーキが5つでした.
アスタシア: ごめんなさいね. 5つしか買ってこなかったの
ひかり: え? ストライクさんのがあるんじゃないの? それをおじいちゃんにあげればいいじゃない
なつめ: つまりジーニちゃんは無視ってこと?
ジーニ: うにゅう……
アスタシア: ストライクさんの分はジーニちゃんに
ひかり: うっかりしてたよぉ. ひかり, タルトを食べるのに夢中で気付かなかったんだよ. じゃあ, おじいちゃんにはひかりのをあげるね
アスタシア: うーんと……少しずつ切っておじいさんにあげてくださいな
それからというもの, 遠慮合戦が始まりました.
ゼロ: えとえと. じゃ, 私のあげる
なつめ: しょーがないなぁ. ほら, あたしのをあげるから泣かないでよ
ジーニ: いいよ……私……いらないよ……代理で来ただけだし……
なつめ: 代理だなんて気にしない!! すぐふさぎ込むんじゃない!! もっと明るく生きなくちゃ
アスタシア: あー, いいのよいいのよ. もともと人数外はおじいさんなんだから
じーさん: うお. えらい言われようじゃが, その通りじゃしのお
アスタシア: あ, いえ, ごめんなさいね. うーむ, 困ったな
アスタシアさんは見るからに困りはてた顔をしていました.
ひかり: おじいちゃんもくるって, ひかり言ってなかったかなぁ. 人数外はひどいよ〜,元締め〜
じーさん: まあまあ, よさんかい, ひかり
アスタシア: わかったわ. わたしの分をあげれば済むでしょ
ジーニ: 私の……あげる
なつめ: しょーがないなぁ. 5等分のケーキを6等分すればいいのね. そうなんでしょ?
じーさん: アスタシア殿も, そう言わんと
そういう皆の言葉をさえぎって, アスタシアさんは強い口調で言いました.
アスタシア: 決まり! 5人でケーキ食べてね! そのかわり, みんなの所に回って, わたしが少しずつもらっちゃう. それでいいでしょ?
じーさん: ちっちっち, いかんのお. アスタシア殿のはなかなかナイス提案じゃが, せっかくの孫娘の誕生日じゃ. だれか1人がそんなことじゃいかんぞい
しかし, アスタシアさんは, ケーキを自分を除く5人にまあまあと配ってしまいました.
なつめ: その前に全部食べないと
なつめさんは大急ぎでケーキを食べ始めました. しかし, アスタシアさんはそれを見逃しませんでした.
アスタシア: さあて, まずはなつめちゃんのを……
なつめさんもあきらめてケーキを差し出しました.
なつめ: ったく, 元締め, あーんして
アスタシアさんはそれを一口だけぱくっと食べました.
アスタシア: ありがと
なつめ: あ〜〜〜〜〜!! 一口が大きい!!
アスタシア: え? 気にしない, 気にしない
じーさん: 騒がしいのお, ナツメは
なつめ: いいじゃん, せっかくの酒の席なんだからさ
じーさん: ほれ, わしのを食わんかい
しかし, なつめさんは受け取りませんでした.
じーさん: おお, ナツメにしては遠慮深いのお. 感心感心
なつめ: あたしも人の子だからね

なつめさんから離れて, アスタシアさんは今度はゼロさんの元へ急ぎました.
アスタシア: 次はゼロさんのとこからもらっちゃおうかなー
ゼロ: あっ私も食べさせてあげる〜〜〜
アスタシアさんがあーんと口を開けた所にゼロさんが一かけらを放り込みました.
アスタシア: 自分の分を食べるより楽しいなぁ


なつめ: じーさん, 飲む?
なつめさんはおじいさんに青汁を注いでいました.
じーさん: 飲むかっ
しかし, おじいさんはそれをそのままなつめさんに向かって吹き出しました.なつめさんの顔は緑色に染まりました.
じーさん: うーん, いいのおナツメ
なつめ: うぎゃぁ!! きったな〜〜い!!
じーさん: むう. わしの消化液混じりの青汁はだめか……
おじいさん, 当たり前です.
なつめ: 顔洗ってくる!!
なつめさんは怒りを露にながら部屋を出ていきました. そこにひかりさんがタオルを差し出しました.
なつめ: ありがとう. ひかりちゃん優しいねぇ
じーさん: 元々ナツメが青汁なんか入れるのが悪いんじゃ. わしは潔白じゃ
おじいさんは潔白だとか私はやってないとかぶつぶつ言っていました.
ひかり: おじいちゃあ〜〜ん, もう〜, ひかりが恥ずかしいよ
なつめ: いいよいいよ. あたしが差し出したわけだから
ひかり: でも, 腰痛の中来てくれてありがと. うれしかったよ. ひかりは. ストライクさんが来なかったのは残念だけど, おじいちゃんが来てくれたから, いいよ
アスタシア: まま, かわりにこのジーニちゃんをストライクさんだと思って

その時, ゼロさんはしきりに首をひねっていました.
ゼロ: 今日のなつめちゃん, おかしい. 偽物だ
なつめ: 偽物だとぉ〜〜!
じーさん: 偽物は酷いの. せめて「パチモン」くらい言ってやれい
ゼロ: だって, いつもなら, 許すなんて言葉出てこないじゃないか
なつめ: あのじーさん怒らすととんでもないんだよ
ゼロ: へぇ. なつめちゃんが怖がるって相当何かあるんだね
じーさん: そうじゃ. わしが怒ると恐怖の丸一日ギャグ炸裂じゃ
なつめ: それが怖いのよ
ゼロ: そっか. ふむふむ
私も妙に納得しました.