何でも屋11: ひかりちゃん合格おめでとう

ひかりちゃんの追試は無事合格でした.これで無事に明るいパーティーができますね.あまり羽目を外さないで下さいよ.

乾杯

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アスタシア: はいはーい, みんな, 静かに〜
アスタシアさんがまた手をぱんぱんと叩くと, また静かになりました. 彼女の影響力はなかなかのものです. 信頼なのか, 恐れなのか.
アスタシア: 乾杯の前に, ジーニちゃん紹介しておくね
なつめ: わ〜〜〜〜!!!
皆, 一斉に拍手しました. ジーニちゃんはアスタシアさんの背中(もっと正確に言えば緑のスカート)にしがみついていました.
アスタシア: ほら, 隠れてないで前に出て. 自分でごあいさつできる?
ジーニ: にゅ……
ひかり: 誰? その子?
ひかり: 元締めの娘さんかな
なつめ: 元締めの隠し子か?
なつめさんはにやにや顔でした. ゼロさんもくすくす笑っていました.
アスタシア: わたしまだそんな年じゃないの!
なつめ: そう? じゃ, つんつんの隠し子かな
ジーニ: ジーニです……お兄ちゃんのかわりで来ました
なつめ: お兄ちゃんって誰? つんつん?
ゼロ: そっそうだったんですかぁぁ
驚いたのはゼロさんでした. まったく身に覚えがないようです.
なつめ: そうだったんですよぉ〜
対照的になつめさんはおどけた感じでした.

そして, 真相は本人の口から明らかになりました.
ジーニ: にゅう……ストライクお兄ちゃん
なつめ: なるほど!!ストライクさんの妹さんね
ゼロ: ストさんかぁ
皆なるほどとうなずきました.
アスタシア: ということなのだそうです
ひかり: パーティは人が多ければ楽しいし
なつめ: そうそう. とりあえず飲もうや
アスタシア: ジーニちゃん, 楽しんでってね
ジーニちゃんはうなずいていました. そして, アスタシアさんはゼロさんに厳しい視線を送りました.
アスタシア: ゼロさん, いじめちゃだめよ
なつめ: だいじょぶだいじょぶ. つんつんはあたしがなんとかするから
ひかり: じゃ, 乾杯しよ
アスタシア: ええ. それでは, 皆さんコップを上げて……

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アスタシア: ひかりちゃん, 試験合格おめでとう
なつめ: あっ
ゼロ: ひかりちゃん, おめでとー
ジーニ: おめでとう
ひかり: ありがと〜
アスタシア: 何か一言.
全員の視線がひかりさんに集まりました. ようやく普通のパーティーらしくなってきました.
ひかり: お祝いしてくれて, みんなありがとね
アスタシア: おめでとー
なつめ: おめでとー. いい子を産んでね
またもやおめでとうの大合唱です. でも, ひかりちゃん, まだ若く見えるのに出産? あ, 冗談ですか. なんだ.
ひかり: 追加試験はたいへんだったんだあ
アスタシア: でもよく受かったわね
ひかり: ミウ・レン試験官さん優しいけど, 判定は厳しいの. なんか, テクニック以外の行動もチェックされちゃった
ゼロ: そうなんだぁ
なつめ: まぁ受かったんだから文句は無しだよ
ひかり: でも, 偶然試験場でおじいちゃんが来て励ましてくれたから, 緊張しなくてすんだよ
アスタシア: おじいちゃんさまさまね
ひかり: それでいい結果が出たのかもね
アスタシア: あのおじいちゃんだったら緊張感なくすかも..
アスタシアさんは何かを思い出してふふふと笑っていました.
ひかり: あーあ, おじいちゃんにも来てほしかったなぁ. ゼロさんとだじゃれ合戦してほしかったのになぁ
ゼロ: だっ, だじゃれって, 私, そんなだじゃれなんかできないですよ〜
なつめ: 寒い事言えばいいのよ
ひかり: そうそう, そのおじいちゃんの腰痛の具合が心配だから, 今日はあまり長くいられないんだよ
すると, いっせいに非難の声が上がりました. そりゃそうですよね.
アスタシア: あらら
なつめ: そうなの!?そんなぁ. 2次会3次会は当たり前だよ
ひかり: ひかりは早めに帰るけど, 皆はゆっくり楽しんでね
ゼロ: ええー, ひかりちゃん, 帰っちゃうの〜? やだ〜〜
なつめ: あのじーさんなら宇宙が滅びたって死にはしないよ
ひかり: わしは大丈夫だぞい, とか言ってたけど, 苦しそうだったからねえ
なつめ: あらら, そりゃ大変だ
なつめさんの表情が変わりました. どうやら本当に帰らなければならないらしいようです.
ひかり: おじいちゃん, 和菓子好きだから, ここで出たお菓子を貰って帰るね
ええ, 和菓子くらいお出ししますけど, どうせなら料理を持っていきません?

ところで, ひかりさんがゼロさんの名前を出した時から, ジーニちゃんの様子が何か変でした. 机の下に隠れながら, 目のところまで顔を出してゼロさんをにらみつけています.
なつめ: どしたの? あそこの男性が恐かったの?
ジーニ: うにゅ……なんでもない
ゼロ: えっ, わたしですか?
なにか複雑な事情でもあるんでしょうかね?


ひかりさんがまたカウンターを覗きに行こうとしたところをアスタシアさんが止めました.
アスタシア: その前に急いで乾杯しましょう!
ひかり: あ, そうだったぁ
アスタシア: ひかりちゃんの合格をお祝いして, かんぱーい
なつめ: 完敗
ジーニ: かんぱい……
ゼロ: かんぱーい
ひかり: かんぱぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い
ひかりさんは, 皆がコップを置くころまでずーっと乾杯の声を出していました.
なつめ: 長いよ
アスタシア: あらら, ひかりちゃん, まだやってたの. よっぽどうれしかったのね