ちびっこ探険隊

今回は、チビキャラ揃いということで、みんな5,6才くらいという設定です。これもまたいつもの設定とは違うのでお間違えなく。

戦いは大丈夫?

4人が元気に扉をくぐった先は、猛獣がうろつく危険地帯です。今日最初のお客さんは……黄色いラッピーでした。かわいい外見とは裏腹に、力も強く獰猛なのです。

アヤ: とりさんだー
ウォン: ラッピーだ。ナマイキに喧嘩打ってくるんだよなー
ミル: ミル、さわりにいく〜
ミルちゃんはそう言うと、ててて、とラッピーに向かって駆け出しました。
ミル: トリさん〜
ウォン: ばか、あぶねえって!
アヤ: ウォン君捕まえてよ
ミルちゃんは、両手を大きく広げて抱きつこうとしましたが、案の定、固いくちばしでつつかれます。
ミル: いたっ! この〜、トリのくせに〜
ウォン君はそこにすかさず割って入り、持っていた剣でラッピーを殴りつけます。
ウォン: うらあ、どうだっ!
ミルちゃんも持っていた杖を手に、殴りつけます。
ミル: お前なんかこうだ!
4人は手にした武器で乱戦に突入しました。

読者の皆さんはご存知でしょうが、ラッピーは足が早く、反撃されるとすぐ逃げ出す習性を持っています。この時ももちろん、殴られたラッピーはどどど、と猛スピードで逃げ出しました。
アヤ: 逃げたよ
ミル: ミル様に恐れをなして逃げ出したのだぁ
ウォン: 俺に恐れをなしたか
同時に同じ事を言った2人は、思わず顔を見合わせます。
ミル: ウォン君じゃなくてミル
ウォン: 俺だよー
ミル: ミルだよミルだよミルだよミル!
ウォン: ミルなんかやられてたくせにー
ミル: あれは……
ミルちゃんは言葉に詰まり、ちょっと時間を置いた後、元気のない声でぼそりと言いました。
ミル: 油断したのよさ
ウォン: 嘘ばっかり
ミル: 嘘じゃないもーん
ウォン君はそう言うミルちゃんの肩をぽんぽんと叩きました。
ウォン: まあいいっていいって、俺がなんとかしてやる。さあかかってこい!
それはちょうど、獲物のラッピーが一匹で向こうからノコノコと向かってきた所でした。
ミル: やってみなさいよー

ウォン君が強かったのか、それともやってきた不運なラッピーが弱かったのか、ウォン君がぶんぶん振り回す剣に当たってラッピーはたちまちひっくり返りました。
ミル: あ、やっつけちゃった
ウォン: へへ、無敵だぜ
ミル: トリさんかわいそー
アヤ: かわいそー
ウォン: ジャクニクキョウショクなんだよーだ
倒れたラッピーは素早く起き上がると、猛スピードで森の奥へと逃げ出しました。ウォン君はそれを勝ち誇った顔で見ていました。
アヤ: 逃がした
ウォン: 俺は優しいからな
ミル: なーにが優しいのよさ、殴っておいて
ウォン: さーて、次いこ、次
ともかく、4人は、最初の猛獣を撃退したのでした。そして、どんどん奥深くへ進んでしまいます。


次に登場したのは、ぶよぶよした蚊の巣、モネストです。紫色と緑のコントラストが美しい……と肯定的に見る人はほとんどいなくて、森の嫌われ者の筆頭です。
ウォン: うあ、今度は蚊だ
ミル: うわ、きもちわるい〜
アヤ: 虫キラーイ
ウォン: 虫避けスプレーしとけば良かった
逃げまどう女の子たちに対して、ウォン君は、袋の中から出てくる蚊に悩まされながらも、敢然と剣を振り回します。やがて、袋はぶしゅーっと音をたてて潰れました。
ウォン: まいったかー
ミル: こんな気持悪いのは、ミル様が手を下さなくても十分なのです
ウォン: こわいくせに
ミル: こわくなんかないもーん

ウォン: あーどきどきしたなー
ウォン君はふうと一息つきました。
ウォン: 冒険だなっ、ロマンだぜっ
ミル: ぶよぶよして気持ち悪いだけじゃん
ウォン: ま、いいや、お宝探しにはロマンがいっぱいだぜ
ミル: ロマンってなんだかわかんないくせに
ウォン君はポケットから出した地図を広げました。
ウォン: えーと、地図によると……こっちだな
と、向こうの扉を指さすと、さっさと歩いていきました。
アヤ: 話そらした……


ウォン: また出やがった
今度は毎度おなじみブーマです。ラグオルの森に幅広く棲息する彼らは、繁殖力も強く、森のいたる所でうろうろしています。仕草は結構かわいいにも関わらず、その顔のおかげで人気は高くありません。
もはや慣れたのか、それともブーマが弱いのか、4人はぼこぼこに殴って危なげなくブーマを撃退します。
ウォン: 俺の勝ちだぜ
ミル: ミルの勝ち〜
ウォン: モグラなんかたいしたことないな

そして、血の匂いを嗅ぎつけたのか、ウルフもやってきました。
ウォン: うお、犬だ。カッコいい〜
ミル: 犬のくせに刃向うとは一千万年早い!

向かってくる猛獣をみんなやっつけて、森はまた静かになりました。
アヤ: みんな大丈夫?
ウォン: らくしょーらくしょー
ウォン君は剣を収めました。
ウォン: ロマンもちょっと甘めだな
ミル: やっぱりロマンってケーキ?
アヤ: ケーキかぁ
ウォン: 違うっての。女はこればっかりだぜ
ウォン君はあきれ顔で言うと、また地図を広げました。
ウォン: 段々岩があそこだから……この先だぜ
段々岩までだんだん近くなってきました。


4人は段々岩のまわりを回って、さらに奥へと進んでいきました。道中にはブーマが我が者顔で居座っています。
ウォン: 生意気なモグラだ。でりゃあ!
いつものように剣を振り降ろしたウォン君でしたが、ブーマの方が一瞬早く、大きな腕の直撃を受けました。ブーマは動作は速くないものの力が強く、一撃をくらうと結構効きます。
ウォン: いでででで
ウォン君はひっくり返ったものの、女の子たちの助けもあって、ブーマは無事撃退されました。
ウォン: ちょっとはロマンが強めだったな
アヤ: 楽勝じゃなかったの?
ミル: ウォン君、お宝はまだぁ〜?
ミルちゃんは不満げに言いました。
ウォン: ばっか野郎、これからだ
ミル: これからこれからって、どこまで行くのよさ
ウォン: んーっと……
ウォン君はあたりを探し回って、やがて森の茂みの中にうっすら続く小道を発見しました。
ウォン: ここ、ここ。こっから奥のしげみに入って行くんだ
アヤ: ふうーん、本当?
ミル: まだ行くの〜?
ミルちゃんはずっと不満そうです。
ウォン: ちゃんとついてこないと迷子になるぞ。恐かったら残ってな!
ミル: ウォン君が迷子にならないようについてってあげないと……
とは言うものの、ミルちゃんの声にはいつものような威勢がありません。
アヤ: そうね
ウォン: お守はこっちのセリフだぜ…… さあ、奥に行くぞ
そう言って、4人はウォン君を先頭に、下草をかきわけながらさらに奥へ入っていきました。