ちびっこ探険隊

今回は、チビキャラ揃いということで、みんな5,6才くらいという設定です。これもまたいつもの設定とは違うのでお間違えなく。

ロマンってわかる?

ゲートの先はラグオルの森の中。森とはいっても、木がうっそうと生い茂っているわけではなく、パイオニア1の人の手によって道や空き地が整備されています。
ウォン: 地図によると山の方だな。いっくぞー!
ミル: さて、宝どこかな〜
ミルちゃんはあたりをキョロキョロ探し回っていましたが、何か見つけた様子でしゃがみ込みました。
ミル: これが宝? 30メセタじゃん
アヤ: まっさかー
ミル: ぷぷっ!
マット: 随分安っぽい宝ね
ウォン: 何言ってんだよ!
ウォン君はたまらず駆け寄ってきましたが、ミルちゃんとマットちゃんは手を叩いて喜んでいます。
ミル: はい、ウォン君の負け〜
マット: 罰ゲーム〜
アヤ: 罰ゲームまだ考えてないのに
ウォン君はわざと大きな動作で地図を広げると、二人に×印を指し示しました。
ウォン: ば、ばか、地図ちゃんと見ろよ、ここじゃないだろ〜
ミル: そんなのアテにならないって
マット: そうそう、あてにならないよ
ウォン: 違うってば

ウォン君は、3人を連れて、地図を広げたまま見晴しのよい崖の上まで移動しました。
ウォン: ほら、よく見ろよ。あそこに段々岩が見えるだろ?
ミル: どれどれ?
マット: あるね
ウォン: あれが地図のここだよ。ほらほら。×印と全然遠いじゃん
ミル: えーっ、あんな遠くまで行くのぉ〜?
ミルちゃんは遠くの景色と地図を見比べながら、不満げに言いました。
ウォン: 大体なー、こんなすぐに宝探しが終わるわけないだろ!
マット: えー、面倒だなぁ
ウォン: もっと冒険とロマンが満ち溢れてるんだぜ
アヤ: もう終わりでいいじゃん
マット: そうそう、終わりでいいでしょ?
そう言うと、また女の子たちははやし立てました。
アヤ: ウォン君の負けー
マット: 罰ゲーム〜
ウォン君はそんな女の子たちをあきれた様子で見ていました。
ウォン: はー、ほんとにお前ら子供だなー
ミル: 子供なのはウォン君だよ〜
マット: だからウォン君と同じだってば
ウォン: お宝探しがわかってねえんだよ
ミル: わからない! そーんなの子供の遊びじゃん
マット: 合理的じゃないわね
アヤ: 男の子の遊びでしょ
ミル: ガキよ、ガキ
ウオン君はさかんに首を横に振っています。
ウォン: かー、しょうがねえ奴らだ

ウォン君は姿勢を正すと、帽子をちょっとかぶり直しました。
ウォン: いいか! 宝てのはつまりロマンだよな!
ミル: ロマン?
アヤ: マロン?
マット: 栗のこと?
ミル: マロンケーキ?
ウォン: そしてそこに辿り着くまでの冒険もロマン……
ウォン君の話も聞かず、女の子は3人でこそこそ話し合っています。そしてウォン君の話が途中なのにも関わらず、ミルちゃんはうれしそうに叫びました。
ミル: ケーキ!?
アヤ: お菓子なの?
ウォン: 栗じゃねえ! ロマンってのはな〜
と、ウォン君はここまで言うと、顔がだんだん下向き、声が小さくなっていきます。
ウォン: え、えーと……
ミル: なによ、言ってみなさいよ。ほら、ほら
アヤ: そっか、お菓子か
ウォン: ろ、ロマンはロマンだ
ミルちゃんはにやっと笑うとウォン君を指差しました。
ミル: やーい、わかんないくせに〜
マット: わかってないんじゃない?
ウォン: 知らないお前らが馬鹿なんだよ〜。ばーかばーか
ミル: ウォン君も知らないくせに〜
ウォン: まったくほんとにわかってねえぜ
マット: ウォン君もね
ウォン: ロマンてのは宝と冒険だ! 俺はわかってる!
ウォン君を女の子3人は怪しげな目付きで見ます。
アヤ: ふぅ〜ん
ミル: ケーキじゃないの?
ウォン: 違うってば
マット: へー
ミル: ちぇっ、つまんないの〜
アヤ: マロンケーキかー
ウォン: ちーがーうー
ウォン君は今日一番の大声で言うと、はあはあと肩で息をしています。
アヤ: どうしたの、息を荒くして
マット: もう疲れたの?
ミル: 一人で疲れてんの〜、ヘンなウォン君〜
ウォン: いちいち相手してるとツカレルぜ…
アヤ: お年寄り?
ミル: ウォン君、じじい〜
アヤ: じじ〜
ウォン: お前らだってばばあじゃんかよ〜
アヤ: なんですってー
そう言うと、ウォン君は一人で駆け出してしまいました。
ウォン: もういい! 俺は一人で行く! ばばあはここで待ってろよ!
マット: あ、逃げる気?
ミル: あ、待ってよー
アヤ: 待ちなさいよー
女の子3人も慌てて後を追い掛けました。