湯けむり紀行・美女が行く洞窟秘湯めぐり

ラグオルの洞窟のどこかに、こんこんと沸き出る温泉があるらしい。なんでも、特に美肌に効果があるとか。そんな話を聞きつけてじっとしていられない美女2人、温泉探索に乗り出しました。

そして俺の風呂

レイナ: あーいいお湯だったわ
キョウカ: よく温まりました
レイナ: おまちどうさま
キョウカ: 待ちくたびれたと思って早めに上がりましたよ
レイナとキョウカの二人が風呂の部屋から出てきた。あ、あれで早いのかよ…。んじゃ、制御装置を探しに…
ヴァル: じゃ、コアンさんどうぞー
レイナ: 入らないの? せっかく早めに切り上げてあげたのに
入らなきゃいけねえのか? また? へいへい、わかりましたよ。俺はしぶしぶ温泉の小部屋に入った。ヴァルもついてきた。…お前さんも入るのか?
ヴァル: ダメですか?
いや、悪かねえけど…。やっぱ気になる。ヴァルには背中を向けて風呂につかった。

キョウカ: あら、忘れ物しちゃった
うわわわわ!! キョウカが急に入ってきた。ざぶんと湯船に潜って、首から上だけを出す。
ヴァル: キョウカさん♪
キョウカ: あ、気にしないで入っててください。忘れ物しただけですから
気にするぜ!! まったく、もう言葉も出ないよ。
キョウカ: あら?
なんだなんだ? 部屋の隅をちょっと探すのかと思ったら、湯船の中をじろじろ見ている。俺はキョウカからなるべく離れるように移動した。もちろん首から上だけを出しながら。キョウカが動くとともに俺もじりじり動く。早くしてくれよ…。
キョウカ: ええと、指輪が……ここに置いたのですが…。
ヴァル: 指輪!? 大変です!
キョウカ: お湯の中、落ちちゃったかしら?
指輪? しょうがねえなぁ‥。湯船の中を手で探りながら、ざぶざぶとあちこちを移動する。すると、心配そうにのぞき込むキョウカと目が合った。キョウカの視線は水の中に。気まずい……。一瞬固まってしまったが、急いで反対を向く。
キョウカ: ありました。そこの赤いやつです。とっていただけます?
ヴァル: よかったです!
これだな? 指輪をつまむと、相変わらず首から上だけ出したままじゃぶじゃぶと移動し、これまた腕だけ上げて手渡す。ほらよ。
キョウカ: ありがとうございます
コアン: 気ィつけてくれよ?
キョウカ: はい
頼むから早く出ていってくれないかなぁ…。キョウカは指輪をハンカチで拭くと、左手の薬指にはめた。そして、ゆっくりと部屋を出ていった。
レイナ: キョウカって…結婚…
キョウカ: あ、これですか? してませんよ。独身です、独身
レイナ: じゃあこれは?
キョウカ: これは安物です。なんだか気に入っちゃって
レイナ: いや、そういうことじゃなくて

はあ、でもなんだな。やっぱりなんだかんだ言って、入ってしまえば風呂はいいもんだな。
コアン: あーるぅはれたぁーひぃぃるぅーさがりぃぃ♪
コアン: いぃぃちぃばぁへつづぅくみちいいっとくらぁ

キョウカ: 左のここにしかはまらないんですよ
レイナ: ま、バカなオトコを追い払うにはちょうどいいかもね
キョウカ: ふふふ
レイナ: ああいうバカ音痴とかね…
キョウカ: 男の方は陽気で楽しいですね
音痴の方は多少は自覚してるが、バカはねえだろ、バカは。
レイナ: 陽気にしてももうちょっとイイのがいるでしょ
キョウカ: かっこつけて、いなくなるよりましですよ…
レイナ、相変わらずひでえこと言ってやがる…。はぁあ、そろそろ上がろうかな。とふと前を見ると、ヴァルがこちらをじーっと見つめていた。あいつ、ちょっと前に上がったよな? ずっと見てたのか?
コアン: ヴァル、い、いたのか。あの、そろそろあがるからさ。出てっててくんねぇかな
ヴァル: は、はい!
やっぱりあいつはどうもよくわからん。

レイナ: おっそいわねぇ。仕事中だってことわかってんのかしら?
キョウカ: お疲れなんでしょう。ゆっくりしていただいてもいいでしょう
レイナ: プロ失格よ、失格
風呂から上がって俺が出ていくと、レイナはこんなことを言っていた。自分達のことを棚に上げておいて、なんて言い草だよ。でも、ちと伸び伸びしすぎちまったな
レイナ: 遅い
コアン: すまねえ、待たせた
レイナ: じゃいくわよ! やっぱり大浴場がないとねー
へいへい。余韻に浸る間も休憩する間もなく、俺は銃をひっつかむとこの部屋を後にした。