湯けむり紀行・美女が行く洞窟秘湯めぐり

ラグオルの洞窟のどこかに、こんこんと沸き出る温泉があるらしい。なんでも、特に美肌に効果があるとか。そんな話を聞きつけてじっとしていられない美女2人、温泉探索に乗り出しました。

またまた温泉

キョウカ: あら、またお風呂です
ヴァル: 温泉!?
やがて俺達は、またもや温泉を発見した。前の2つの温泉と同じようだが、少し小さい。俺が思うに、スタッフ用なんじゃないかな。
キョウカ: あら、いい湯加減ですよ
キョウカがお湯に手を突っ込んで言った。入るつもりか、もしかして!?
レイナ: ま、せっかくだから入りましょう
ヴァル: もちろんです!
俺はあきれた。もう何も言うまい、いや、言っても無駄だ。大体、今日だけで何回お風呂に入ったことやら。
キョウカ: コアンさんはお風呂嫌いなんですか?
コアン: 嫌いってぇか、一日の終わりに汗を流せれば十分だな
キョウカ: 危険から依頼者をお守りするのでしょう? このお風呂が危険かどうか調べるってのはどうですか?
コアン: 危険かねえ?
俺はこの時のキョウカの意味深なにっこり顔の真意に気づかなかった。ま、形だけでも見てきてやるか。俺は軽い気持ちで中に入った。
ヴァル: レイナさん、お湯加減はどうですか?
レイナ: いい湯加減よ
ぎょっ!! そこでは、レイナが既にお風呂につかっていた。彼女の白い肌は…って描写してる場合じゃねえ! 彼女は顔色一つ変えずにこう言った。
レイナ: …スケベ
コアン: し、失礼!!
俺はあわてて部屋を飛び出した。あー、びっくりした。それにしても、女のくせに無防備すぎるぞー!
レイナ: なによ、スケベ
コアン: 入ってるとは思わなかったんだよッ!!
レイナ: あーあ、婚約者の人もかわいそうねー
身も蓋もねえ言い方しねぇでくれよ…
ヴァル: コアンさん、お風呂に入ってないのに顔真赤ですよ?
なんでこんな依頼受けちまったんだろう…
ヴァル: こーんなに楽しい依頼なんてそうそうないですよ
ま、美女と一緒ってのはいいんだが…。確かにレイナさん、きれいだよなぁ。プロポーションもいいしな。そういえばここの温泉、濁ってなくてとてもきれいな水だったなあ。ああ、いかんいかん、思い出さないようにしよう。俺は首を降って雑念を払った。
ヴァル: コアンさんって意外とこういうの弱いんですね。ふふふ
あのなぁ、からかわないでくれよ。

キョウカ: あら、でも男の人はみんなそうですよねー。レイナさん美人ですしね
レイナ: …そう?
キョウカ: ええ、そうですよー
レイナ: キョウカのほうこそオトナって感じよね
キョウカ: あはは、そうねー。もう、トシよねー。温泉入って若返らないとだめねー
レイナ: トシなんてそんなー
キョウカ: わたしはもう歳ですよ。オバさんて呼ばれるのいやだわー
レイナ: どう思う? コアン? キョウカは美人よね
コアン: ああ、そう思うぜ?
キョウカも美人だよ。確かに。特に風呂上がりの髪をこう上に結い上げる仕草なんかは…。いかんいかん、また思い出した。でも、女性は外面の美しさだけじゃねえと思うんだな。やっぱり。
コアン: 女性ってのぁ年齢に関係なく気持ちが美しいんだったらそれが外面にも現れるモンだろ?
俺は一つ咳払いをした。
コアン: と、俺は思う、うん
なんだか柄にもねえこと言っちまった。今の俺の正直な気持ちなんだがな。こら、ヴァル、無理にカッコつけてんじゃねえんだ。うるさい。
キョウカ: 婚約者さんに言った台詞ですかぁー?
なんで俺に婚約者がいるってことをキョウカが知ってるんだよ?
レイナ: さあ? なんでかしらね? ふふ
キョウカ: レイナさんが言ってましたから…。
それにしてもあいつらの風呂、いつもながら長えな。俺はもうすることもなく、辺りをウロウロしていた。風呂と長話はさらに続く。

キョウカ: もしかして雇った私達のデータ自由に見れるんですか?
レイナ: 全部ではないけどね。ギルドに登録してあることは見れるわよ。婚約者云々はデータなかったけど
キョウカ: あら、結構細かいところまで? あああ、じゃ わたしの身長とか体重までわかっちゃうわけですか?
レイナ: ま、そうね
キョウカ: あららら。最近2キロも太ったんですよ。ばれちゃったんですねー。ダイエットしないとだめですねぇ
レイナ: ふーん、太ったの
キョウカ: 3サイズとかきちんと書いてるんですか? みなさんは。わたし、正直に全部書いちゃったんですけど…
レイナ: なんでアレ、女性だけ3サイズ書くとこあるのかしらね?
女性ってのは体重を気にするんだなぁ。アンドロイドのお前さんは、体重は心配しなくてよさそうだな、ヴァル。
ヴァル: えーと、なんで体重なんて気にするですか? 人に知られちゃまずいんですか?
いや、俺に聞かれても知らんよ。俺じゃなくてこの二人に聞いてくれないか?
コアン: まぁ、ほっそりしたのが好みの奴もいれば、ボリュームあるのが好きな野郎もいるし、そこまで気にしなくていいんじゃねえか、とは思うがな
ヴァル: だって、気持が美しければいいんですよね?
あー、まぁ、俺はそう言ったがな…。さらに美人だったらなおいいってこって…。

こうやって待っていると、「そろそろ上がる?」との声が。やっと終わったか。長え風呂だったなぁ。