湯けむり紀行・美女が行く洞窟秘湯めぐり

ラグオルの洞窟のどこかに、こんこんと沸き出る温泉があるらしい。なんでも、特に美肌に効果があるとか。そんな話を聞きつけてじっとしていられない美女2人、温泉探索に乗り出しました。

いよいよ大浴場へ…?

どれだけの部屋を回り、どれだけのモンスターを退治しただろうか。何回も元の場所に戻りながら、ついに俺達は探し当てた。今までにない大きな入口を。
ヴァル: 大きな入口ですぅ!
レイナ: やっと大浴場についたようね。こんな奥にあるからつぶれんのよ。ハワイアンてのはなに考えてたのかしら?
キョウカ: 入口が大きいからお風呂も大きいわけですね?
ヴァル: とにかく、目当ての場所にきたですよ。行きましょう

俺達はゲートをくぐった。もちろんレイナを先頭に。

ゲートの先、それは大浴場でもなんでもなかった。俺達の出たところは、前後に伸びる巨大なパイプ状の洞窟であった。そこは完全に水没していた。水と言うと聞こえはいいが、緑色に濁っていて、臭気が立ちこめている。今までのお風呂なんかと同じ「水」というカテゴリーには入れたくない、そんな液体で満たされている。俺達はそんな水面に浮かんだ筏の上にいた。

そして、その水面が波打った。何か巨大な細長いモノがいる。
キョウカ: え?
コアン: なんだよ、ありゃあ?!
それは巨大なイモムシだった。イモムシとはいっても、表面は固い殻で覆われている。そして、表面に顔を出しては、これまた固い触手を突き差してくる。間一髪で避けると、それは筏に突き差さった。とんでもねえ威力だ。
レイナ: いやーーー!!
とにかく、向かってくる敵は倒すしかねえ。やっと本気で戦える相手が来たぜ。俺は相手をにらむ。ヤツの急所はどこだ? そして、タイミングを見計らって銃をぶっ放す。
コアン: これでも喰らいなッ!!
やったか? 奴は水面の上に仁王立ちになると、立った格好そのままでずぶずぶと水面に沈んでいった。はぁ、やれやれだぜ。

レイナ: なんなのよ、アレ
キョウカ: これ、お風呂から流れ出た古いお湯。汚いですよ、これは。
レイナ: 下水…ね
レイナはうつむいて肩を落とした。あやうく手にした杖を取り落すところだった。
レイナ: つまり、あそこは、ちまっと温泉出たから施設を作ってみたけれど、ほんとにちまっとだけだったのね
そうかもなぁ。ま、よく聞く話だな。大げさに施設は作ってみたものの、元々目玉がないものだからだれも来ないってトコはたくさんあるよな。
ヴァル: 結局、あの小さい温泉だけだったんですね
キョウカ: 残念。こんなにがんばったのに
レイナ: 電気風呂なんか人工のものだったし…。あれは、悪あがきだったのねー
ヴァル: でもでも、個人で入るだけならあれで十分ですよ
キョウカ: そう、そうよね

レイナ: あーあ、おっきいお風呂…
レイナは筏の後端からさらに後の水路をぼうっと見ながら、だれに言うともなしにこう言った。

レイナ: 帰りましょうか…
レイナ、ようやくあきらめたんだな。さあ、依頼も終わりだ。それにしても、せっかくお風呂に入ったのにぐちゃぐちゃだなぁ。臭えったらありゃしない。

さて、俺達は街まで帰ってきた。後は報酬をもらって帰るだけだ。
レイナ: 結局たいした温泉はなかったわね。
ヴァル: 楽しかったですー。レイナセンター、また行きたいです
キョウカ: 報酬は温泉旅行代で。今、温泉行きましたし。10才は若返りましたよ、おかげで。
レイナ: そうね、温泉ツアーに誘ってあげたんだから
えええっ!? そりゃ、風呂には入ったけどよぉ…。そもそも、誘ってもらったんだっけか? とほほ。こりゃもう、何言っても無駄か…。
レイナ: あら、わたしのハダカじゃ報酬にはならなくて? お釣りを返して欲しいくらいだわ
キョウカ: 高いわよー
コアン: 俺が悪かったです…
お釣りは勘弁! ここは逃げるが一番、そう感じた俺はとりあえず走って逃げた。なんか今日は逃げてばっかりだな。

そして後には3人が残された。
ヴァル: 行っちゃいました…
キョウカ: 温泉入って疲れも取れたから、逃げ足の速いこと

(おしまい)