MORPGにおけるロールプレイ

MORPGで「ロールプレイ」とか「なりきり」と呼ばれているものの本質について考えます。

はじめに

「ロールプレイ」と「なりきり」ロールプレイとは何かという二つの文書を書いたことで、少なくとも筆者の中では「ロールプレイ」と「なりきり」の違いの区別ははっきりした。しかし、各文書の最後の方でちらりと言及したが、世の中ではこの違いはゲームに対する姿勢の違いではなく「キャラの口調で演技をするかどうか」として見られているようだ。

特にMORPGでは、キャラの台詞と動作だけしか他のプレイヤーに見えてこない。つまりMORPGではキャラの「演技の結果」しか伝わらないわけだ。TRPGでは違う。目の前にプレイヤーがいて、ゲームマスターとのやりとりも見えるしポテチをかじっているのもあくびをしているのも見える。そういう相手の状況が見えない最近のPBM/PBW/キャラチャ/MORPGなどによってこの問題は一層大きなものになっているような気がする。

ここでは主にMORPGを例にとってロールプレイ/なりきりと演技について考えたい。RPGにとって演技とは何であり、それはロールプレイやなりきりとどういう関係にあるのかである。

用語説明

最初から専門用語をバンバン出してしまったが、ここで用語の説明をしておこう。

MORPG
マルチプレイオンラインロールプレイングゲームの略である。複数人でやるオンラインのRPGのことを指す。MMORPGという略称の方が一般的かもしれないが、これは「多人数」オンラインRPG、つまり数百人とか数千人規模で同じ世界を冒険するRPGのことだ。MORPGというのはMMORPGも含むし、単に数人でパーティーを組んで遊ぶRPGも含む。
TRPG
テーブルトークロールプレイングゲームの略である。TTRPGとも略される。紙と鉛筆でやる「本来の」RPGのことだ。
ロールプレイ
ここではこの言葉の本来の意味がどうこうという話はしない。ただ、この言葉はよく誤用されていて、解釈も人それぞれであることに注意してほしい。だから「一般的な意味は?」と聞かれると「定まっていない」と言うしかない。
クエスト
RPGによっては「クエスト」という言葉を使っていないかもしれないので注記しておく。村人などに「○○をしてください」とお願いされるのがクエストだ。ほとんどのRPGでは「悪の大魔王を倒して世界を平和にする」というような大目的があるが、それを達成するために(たまに無関係なこともあるが)小目的が置かれることが多い。これを一般的にクエストという。

本文書の対象

本文書は、MORPGのプレイヤーで「なりきり」あるいは「ロールプレイ」に関する議論に関わる人を対象に書いたつもりである。「なりきりはイタい、うざい」とか「なりきり/ロールプレイこそRPGの本当の遊び方だ」とか言う前に、この文書を読んでこの問題の真相について知ってほしい。

繰り返しになるが、この文書は「なりきり/ロールプレイをしたい人」向けではない。これについて議論をしたい人向けだ。だから否定派もぜひ読んでほしい。何も知らないまま一切を否定してほしくはないからである。

ここでは主にMORPGについて話をするが、TRPGでも事情は同じである。MORPGの「プレイヤーが見えない」という特性によってある面が増幅されているだけだ。だから、これはTRPGの話だと思ってもらってもかまわないし、TRPGをやる人は自分たちに関係する話だと思って読んでもらいたい。MORPGプレイヤーの知らなさそうな用語や例は使わないように気をつけたつもりだが、もしわかりにくい場所があったら遠慮なく指摘してほしい。